カテゴリー「リジェクト」の記事

2013年2月19日 (火)

INTRADAの新譜2013/02/19

Gladiatorファイティング・キッズ(1991)
GLADIATOR

■INTRADA
■@TOWER

『ロードハウス/孤独の街』のローディー・ヘリントン監督による、闇ボクシングに青春をかける少年たちを描くスポーツ物。ジェームズ・マーシャル 、キューバ・グッディング・Jr出演。
 音楽は『ターミネーター』のブラッド・フィーデルだが、これはジェリー・ゴールドスミスによるリジェクトされたスコア。以前の記事でリジェクトについて少し説明している。オケとシンセドラムなどを使ったスタイルで、ゴールドスミスのスポーツ物と共通する静と動がはっきりしたスコア。メインテーマは『ロシア・ハウス』っぽい。初リリース。

Incountryブルース・ウィリス/イン・カントリー(1989)
IN COUNTRY

■INTRADA
■@TOWER

 後遺症に悩むベトナム帰還兵と家族の関係を描いたドラマ。帰還兵をブルース・ウィリスが演じている。
 音楽はジェイムズ・ホーナー。初サントラ化。

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2012年10月24日 (水)

クリストファー・ヤングのレーベル

Hauntedfrontcover300x227Haunted or Humored

■@TOWER

 以前お知らせしたクリストファー・ヤングの個人レーベルがタワレコでも扱い始めたので改めて紹介。
 6作品のコンピレイション。収録作品は Tall Man(リジェクト)、Fan Boy、Susan Graham, A Documentary、Faces in the Crowd、Remembered。

Spain300x227To Spain, With Love

■@TOWER

 2006年の “Ask The Dust”のリジェクトスコア。本編ではラミン・ジャワディとヘイター・ペレイラのスコアが使われている。

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2012年9月12日 (水)

MOVIESCORE MEDIAの新譜

Cockneysvszombiesロンドンゾンビ紀行(2012)
Cockneys vs Zombies

■@TOWER
Cockneys vs Zombies (Original Motion Picture Soundtrack) - Jody Jenkins

 イギリスのゾンビコメディ。銀行強盗の一団がゾンビが蔓延したロンドンを逃げ回るハメに。
 音楽はジョディ・ジェンキンス。
 CDは11月6日発売で、初回500枚。
 
HotpotatoThe Hot Potato(2011)


■@TOWER
The Hot Potato (Original Motion Picture Soundtrack) - ガイ・ファーリー

 1969年のイギリスで実際にあった事件を元にしたドラマ。ウラニウムの塊を見つけた主人公達が高く買ってくれる相手を探してヨーロッパを旅して、事件に巻き込まれる。レイ・ウィンストン主演。
 音楽はガイ・ファーレイ。
 CDは9月25日発売で、初回500枚。

TallmanTHE TALL MAN(2012)

The Tall Man (Original Motion Picture Soundtrack) - Todd Bryanton, Joel Douek & Christopher Young

 ジェニファー・ビール主演のサスペンス。子供が次々と消えていく村にやってきた母子の運命。
 音楽は『サベイランス』のトッド・ブライアントンとジョエル・ドゥーク。最後にクリストファー・ヤングのスコアが「組曲とインスパイア」として収録されているが、これはリジェクトされたもの。彼のレーベルから出したリジェクトスコア集"Haunted or Humored"に1曲だけ収録されていた。
 ダウンロードのみ。

ClearskinCLEARSKIN(2012)

Cleanskin (Original Motion Picture Soundtrack) - Simon Lambros

 ショーン・ビーン、シャーロット・ランプリング出演のクライムサスペンス。
 音楽はサイモン・ランブロス。
 ダウンロードのみ。
 
 
Rec3REC/レック3 ジェネシス(2012)
[Rec] 3: Genesis

■@TOWER
[Rec] 3: Genesis (Original Motion Picture Soundtrack) - Mikael Salas

 スペインの一人称カメラによるホラーシリーズ。今度は結婚式のビデオ撮影が一転してゾンビ祭に。
 音楽はミケル・サラス。
 CDは11月6日発売で、初回500枚。

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2012年7月31日 (火)

LA-LA LANDの新譜2012/08/01

 LA-LA LANDの限定盤サントラ。直販での受付は8月1日午前5時から。直販では両方とも先着でサイン付き。

Used_carsユーズド・カー(1980)
USED CARS

■LA-LA LAND
■@TOWER

 ロバート・ゼメキスの監督第2作。中古車販売店がライバル店との競争で無茶苦茶な大暴走。カート・ラッセル主演。
 音楽はパトリック・ウィリアムズだが、最初はアーネスト・ゴールドが担当していた。ライバル店のテーマは"DIES IRAE"をモチーフに使い、終盤は西部劇調にしたり、ソースミュージックも手がけていた。しかし、古くさいということでリジェクト。ウイリアムズに交代した。ゴールドのスコアはバーで流れるソースミュージックだけが劇中で使用された。今回は両方のスコアを収録。初サントラ化。
 限定2000枚

GreenlanternanimatedGREEN LANTERN THE ANIMATED SERIES(2011)

■LA-LA LAND
■AMAZON
■@TOWER

 映画にもなったDCコミックスのヒーロー、グリーン・ランタンのTVアニメシリーズ。シーズン1の13話が放映済み。
 音楽は『ホステル3』などのフレデリック・ウィードマン。
 限定なし

 なお、次回は休みで、リリースはなし。次々回は8月29日の発売となる。今出ている情報では2~3作品で、『13日の金曜日』単独発売と『ブラック・レイン』が入ってきそうな感じ。

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2012年7月 6日 (金)

リジェクトスコア 16

 最終回ということで、まとめ的に。

 音楽という映画製作の一面だけ見ても、映画というものはスタジオ&製作者がすべての権力を握っているというのがよくわかる。その次が監督だが、製作兼任していないと、その権力は実に小さい。世の中、やっぱり金を握る者が一番強いというわかりやすい構造でした。

 テスト試写(英語ではTEST SCREENING)での結果が左右される例が時代が新しくなるにつれて増えてくる。要は失敗したくないために半完成品(あるいは完成品の場合も)を、年齢性別人種などをバラバラに、あるいは狙ったターゲット層のみなど、様々な条件で集めて見せるものだ。そういうセッティングを専門に請け負う会社もある。
 特に映画に詳しいわけではない人々に感想を訊くわけで、大半は音楽など覚えていないことが多い。いつも音楽を気にしたりするサントラファンが異常なだけだ(^_^;) で、音楽について訊かれてもたいした指摘は出来ないのではないだろうか。「あえていうと、音楽うるさかったね」とか、「昔の映画見たい」とか。製作者による不評の原因探しというのは、結局、今から出来る変更にしか向かない。今から主演俳優を変えるわけにはいかないが、編集と音楽変更なら今からでもたいした出費もなくできるからだ。結果として音楽に責任をかぶせて差し替え。こういうのが多いのではないか。

 監督や製作者に音楽についての理解が少ない、あるいは、そういう人材が少なくなってきているのも事実。UCLAやUSCの映画学科でも映画音楽の授業は縮小されているという。普段から意識がない上に、教育でも欠けているとなれば理解できなくても当然だ。せめて、監督志望者には音楽の役割を教え込んでもらいたい。というか、自分でも勉強してもらいたい。
 作曲家は昔なら監督の前でピアノでこんなメロディでと弾いてみせればよかったが、今はシンセモックアップ(シンセでオーケストレイションをして仕上がり見本を作ったもの)を作らなければ理解できない。ジマーと仲間たちが一時期もの凄く重宝されたのは彼らのスタジオには最新機材とスタッフが揃っているため、すぐにモックアップが作れたからだろう。サンプリングのおかげで生オケに近いものができるし、そのまま使っても違和感がないレベルのものになる。

 ほとんどの作曲家がリジェクトされた経験がある中、唯一例がないのがジョン・ウィリアムズだ。無名時代にはあったのかもしれないが、"TORN MUSIC"にも海外サイトにもはっきりとした事例は挙げられていない。スピルバーグと『スター・ウォーズ』後になれば金も時間もかかるというのがわかっているので、安直な起用はできなくなったのだろうが、それ以前にも例がないというのは奇跡的だ。

 以下は今回取り上げなかった事例。有名すぎて取り上げなかったもの、読み飛ばして失念したものなど。そのうち気が向いたらやるかも。とりあえず、ここまでということで。ここまで読んでくださって感謝。

バグダッドの盗賊(1940)
 /オスカー・ストラウス→ミクロス・ローザ

禁断の惑星(1956)
 /デイヴィッド・ローズ→ルイス&ベイブ・バロン

エル・シド(1961)
 /マリオ・ナシンベーネ→ミクロス・ローザ

人類SOS!(1962)
 /ロン・グッドウィン、ジョニー・ダグラス

引き裂かれたカーテン(1966)
 /バーナード・ハーマン→ジョン・アディソン

ボニーとクライド/俺たちに明日はない(1967)
 /ジョージ・バスマン→チャールズ・ストラウス

バーバレラ(1968)
 /ミシェル・マーニュ→チャールズ・フォックス

空軍大戦略(1969)
 /ウィリアム・ウォルトン→ロン・グッドウィン

華麗なる週末(1969)
 /ラロ・シフリン→ジョン・ウィリアムズ

ある愛の詩(1970)
 /ジミー・ウェブ→フランシス・レイ

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2012年7月 4日 (水)

リジェクトスコア 15

 ジェリー・ゴールドスミスの最終回。

Babeベイブ(1995)
 /ジェリー・ゴールドスミス→ナイジェル・ウェストレイク

 オーストラリア映画。クリス・ヌーナン監督による牧羊子ブタの話。
 監督はシニカルなユーモアを持ったこの映画にダークな雰囲気を望み、ゴールドスミスと打ち合わせていた。90%近くを作曲したところで、製作者のジョージ・ミラーは(『マッドマックス』の監督なのに!)もっとファミリー向けの音楽を望み(しかも、暴力シーンもかなりカットした! 『マッドマックス』の監督なのに!)、結局、製作者の意向が優先され、降板。オーストラリア人作曲家のウェストレイクに交代になった。ミラーが監督に回った続編でもウェストレイクが音楽を担当している。

エアフォース・ワン(1997)
 /ランディ・ニューマン→ジェリー・ゴールドスミス

 ヴォルフガング・ペーターゼン監督、ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン主演のアクション。大統領専用機がハイジャックされて、元空軍パイロットの大統領が大活躍。
 起用されたニューマンはこの手のアクション映画は初めてだったが、新機軸を打ち出そうと奮闘した。しかし、出来上がったスコアを映像に合わせてみて、監督は失敗に気づいた。銃撃やパンチなどのアクションのタイミングに音楽を合わせすぎてしまった(いわゆるミッキーマウジング)ために、コミカルに見えてしまったのだ。テロリストのモチーフのロシアっぽい曲もコミカルに響いてしまった。結局、リジェクトが決まり、ゴールドスミスが呼ばれる。録音するまで2週間しかなかったため、ジョエル・マクニーリーに手伝ってもらい、より愛国主義的なスコアを書き上げた。マクニーリーはゴールドスミスの指示に従って作業をしたので、ほとんど自身のアイディアは入れていない。ただ、オーケストレイターが別なので、少しクセが違う印象。
 コメントでハンス・ジマーは「私はこれほど上手くアクションスコアを書けない」とニューマンのスコアを持ち上げ、ゴールドスミスを「映画を観て笑ってしまうほど愛国主義的」などとけなしているが、正直言ってニューマンのスコアは古めかしく聞こえる。そこで思い出すのが、この後にまたもリジェクトが問題となった同監督の『トロイ』だ。あれも古いタイプのヤーレのスコアがリジェクトされた。ペーターゼンはそういう音が好きなのかもしれない。

13ウォーリアーズ(1999)
 /グレアム・レヴェル→ジェリー・ゴールドスミス

 マイケル・クライトンの小説『北人伝説』をジョン・マクティアナン監督がアントニオ・バンデラス主演で映画化した中世を舞台にしたアクション作。バグダッドからヴァイキングと共に北欧まで旅をし、得体の知れない敵と戦うはめになるアラブ人の物語。
 レヴェルはアラブと北欧という文化を表す民族楽器、リサ・ジェラードのヴォーカルを使った得意の民族的なスコアを書いた。しかし、製作者でもあるクライトンは映画そのものの出来映えが気に入らず、もっと観客に受けるように作り直すことにした(物語的にアクションシーンが少ない上に後半に集中しているのもバランスが悪い)。すでに次の仕事(『華麗なる賭け』のリメイクである『トーマス・クラウン・アフェアー』)に入っていたマクティアナンの代わりに、自分で再編集し、30分近くをカットして新たに撮り直すことにした。音楽については長年の友人でもあるゴールドスミスを呼ぶことにした。ふたつのスコアは民族色こそ共通しているが、方向性はまったく異なっていた。レヴェルはアクションスコアですら控えめで、明確なモチーフは使わなかった。ゴールドスミスははっきりとしたモチーフで全体を統一させ、アクションシーンはドラマティックに盛り上げた。これはクライトンの意図どおりだったが、クライマックスシーンのスコア約半分が使用されずに無音になったのは残念(サントラには収録)。

キッド(2000)
 /ジェリー・ゴールドスミス→マーク・シェイマン

 ジョン・タートルトーブ監督、ブルース・ウィリス主演のドラマ。優秀なコンサルタントがある日、子供の頃の自分と出会って、自分を見つめ直す。ディズニー映画。
 ゴールドスミスはドラマのシリアスな部分に重点を置いて作曲することにし、ギタリストのジョン・ウィリアムズを使ったアコースティックギターの音色をキーにしたメインテーマを作った。シンセでモックアップを作り、それを監督に聴いてもらいながら作曲を続けた。監督は編集をしながら音楽を当てはめ、そこで初めて望んだ方向性ではないと気づき、もっとファミリー路線の音楽を望んでシェイマンに交代させた。
 ゴールドスミスは後にこのテーマを『タイムライン』で愛のテーマとして使うことになるが……。

ドメスティック・フィアー(2001)
 /ジェリー・ゴールドスミス→マーク・マンシーナ

 ハロルド・ベッカー監督、ジョン・トラヴォルタ主演のサスペンス。
 監督は過去に2作(『冷たい月を抱く女』と『決別の街』)で組んでいるゴールドスミスに依頼した。しかし、ゴールドスミスのスコアはテーマがはっきりしすぎているという理由で嫌われ、すべて作曲し終える前に交代を告げられた。代わったマンシーナのスコアはいかにもサスペンスの雰囲気重視のスコアになった。

Timelinebtタイムライン(2003)
 /ジェリー・ゴールドスミス→ブライアン・タイラー

 マイケル・クライトンの原作をリチャード・ドナー監督で映画化。
 クライトンはゴールドスミスと長年の付きあいがある上、ドナーとゴールドスミスは『オーメン』で組んで、オスカーを手にしただけに、これはドリームチームであるはずだった。
 ゴールドスミスはドナーと打ち合わせをし、7ヶ月近くかけてすべての音楽を作曲し、録音を終えた。ドナーも出来映えに満足だった。しかし、映画の方は公開前の試写で否定的な評価を受けてしまい、追加撮影と再編集が行われることになった。その結果、音楽があわなくなる個所が出てきた。最も大きかったのがオープニングシーンで、まったく別になってしまう。ついにドナーは音楽をやり直す決定をした。ゴールドスミスにそれを伝えたが、ドナーにとっては望むようなスコアがあるのに変更しなければいけないという葛藤があり、ゴールドスミスもドナーへの友情があり、出来ることなら書き直したいが、これ以上のものはできないという煩悶があり、最終的に降板が決まった。
 その後、再編集済みのフィルムにテンプトラックがつけられたが、それの多くがタイラーのものだったということで、タイラーに依頼がいく。タイラーはゴールドスミスのスコアを聞くことなく、作曲に入る。
Timelinejg ゴールドスミスのスコアはVARESE SARABANDEからSACDハイブリッドでリリースされた。
 ふたりのスコアはメインテーマ+愛のテーマを基調にしており、構造は似ているが、タイラーの方が現代的なシンセ打ち込みやループを使用していることと、モチーフの数が多いことが大きな違い。

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2012年6月30日 (土)

リジェクトスコア 14

 ジェリー・ゴールドスミスの3回目。

Alien_nationエイリアン・ネイション(1988)
 /ジェリー・ゴールドスミス→カート・ソベル

 グラハム・ベイカー監督、ジェイムズ・カーン主演のSFアクション。エイリアンが地球に移住している未来のLAで警官がエイリアンの相棒と事件を追う。
 監督は『最後の闘争/オーメン3』でゴールドスミスと組んでいた。本作のスコアは『未来警察』などと同じく、すべて自身によるシンセの演奏のみというスタイルだった。重いシンセサウンドで激しいアクションスコアを書く一方、メロディアスな愛のテーマも加えている(この愛のテーマは前年にオリヴァー・ストーン監督の『ウォール街』のために作った曲だが、方向性の違いのため、この曲だけを書いて降板している)。録音が進む間に、映画の方は問題が起こっていた。後半部分で大きな再編集が行われていたのだ。当然、音楽にも手を入れなければならなくなったが、ゴールドスミスはすでにスケジュールが詰まっており、やり直しが出来ない状況だった。結局、降板せざるを得なくなり、代わりにソベルが呼ばれた。ソベルのスコアもシンセを基調にしたスコアだったが、メインとなるメロディに欠けていた。
 ソベルのスコアはリリースされなかったが、ゴールドスミスのスコアは限定盤がVARESE SARABANDEからリリースされた。これを聴けばわかるが、愛のテーマは『ロシア・ハウス』のメインテーマとなって復活している。3作品を渡っていっただけに、完成形はしっとりとした仕上がりになっていた。

追記:ソベルのスコアとゴールドスミスのスコアカップリングがリリースされた→■TOWER

ファイティング・キッズ(1991)
 /ジェリー・ゴールドスミス→ブラッド・フィーデル

 ローディー・ヘリントン監督による、裏世界のボクシングを通して成長する少年たちの物語。キューバ・グッディングJr.など出演。
 80年代は昔つきあいのあった監督からの仕事を引き受けていたが、今後どうやって仕事を得るか考え直していたゴールドスミスは新しいエージェントと契約する。そして、今後伸びそうな監督と組むことにした。それが90年代の作風の変化ととらえられた面もある。本作もその一環であり、シンセとオケによる『勝利への旅立ち』を少しダークで都会的にしたようなスコアを書き上げた。しかし、コミュニケーションがうまく行かず、降板。代わったフィーデルもシンセスコアだったが、ゴールドスミスよりも現代的な音になっている。
 どちらのスコアもサントラはリリースされていないが、ゴールドスミスのスコアは一部が『失踪』に生かされている。

Public_eyeパブリック・アイ(1992)
 /ジェリー・ゴールドスミス→マーク・アイシャム

『薔薇の名前』の脚本家ハワード・フランクリンが監督した、写真家アーサー・H・フェリグの伝記映画。ジョー・ペッシがフェリグを演じた。
 監督はフィルムノワール的なスコアを欲し、『チャイナタウン』を担当したゴールドスミスを選んだ。ゴールドスミスは『チャイナタウン』よりもダークで、シンセとシンセドラムを加えたスコアを書き、メインテーマはトランペットとピアノを加えた。しかし、このスコアは製作者が納得せず、アイシャムに交代となった。アイシャムはジャズを基本として、より現代的なスコアを書き上げ、このジャンルでは評価の高いスコアとなった。

River_wild激流(1994)
 /モーリス・ジャール→ジェリー・ゴールドスミス

 カーティス・ハンソン監督、メリル・ストリープ、ケヴィン・ベーコン主演のサスペンス。川下りに来た一家が出会った男は危険な相手だった。
 ジャールは『目撃者』のようなシンセのスコアを書き上げた。監督も満足し、サントラ用のライナーノートさえ書いたほどだった。しかし、テスト試写で不評となり、ユニバーサルのトップ、シド・シャインバーグ(また出た)はすぐに音楽の差し替えを命令。監督は驚きながらもゴールドスミスを提案し、了承された。ゴールドスミスはシンセを加えたオーケストラスコアを書きあげた。シャインバーグはそのスコアにも不満だったが、すでにやり直す時間がなかった。
 ゴールドスミスの作曲と録音の様子はフレッド・カーリンが製作したFILM MUSIC MASTERSという豪華版BOXセットのビデオに収録され、後にDVD化されている。
 ハンソン監督は次回作『LAコンフィデンシャル』でもゴールドスミスを起用し、そのスコアはオスカーノミネートされることになる。
 なお、ジャールのスコアは4枚組作品集Le Cinema De Maurice Jarreに1曲収録されている。また、TADLOWレーベルの『砂漠のライオン』に、ボツスコアを使用したオリジナル曲"GIUBILEO"が収録されている。

追記:ジャールのスコアとゴールドスミスの完全版が収録されたアルバムが発売された→■TOWER

2days2 days トゥー・デイズ(1996)
 /ジェリー・ゴールドスミス→アンソニー・マリネリ

 スタローンの『コブラ』に出演もしていたジョン・ハーツフェルドが監督したサスペンスフルな群像劇。
 本作は小規模な映画だったが、プロデューサーのハーブ・ナナスは『ランボー』で仕事をしたゴールドスミスに依頼した。ゴールドスミスはダークな『チャイナタウン』のようなスコアを書き上げたが、監督は満足できなかった。そこでスコアだけでなく、挿入歌も担当できるとしてマリネリを起用した。
 マリネリのスコアはリリースされなかったが、ゴールドスミスのスコアはつい最近INTRADAよりリリースされた→ブログ

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2012年6月27日 (水)

リジェクトスコア 13

 ジェリー・ゴールドスミスの2回目。リドリー・スコット監督の2作品を丁寧に。

エイリアン(1978)

 "TORN MUSIC"には記載されていないが、これも立派なリジェクトである。
 リドリー・スコット監督の初ハリウッド監督作品にして、幾つものシリーズが製作され、今また前日譚『プロメテウス』が公開される人気シリーズの第一作。ちなみに『プロメテウス』でも一部にゴールドスミスのモチーフが使用されている。
 監督とゴールドスミスはあまりコミュニケーションが取れない状態で作業をしたという。意思の疎通が充分な状態でなかったために一旦すべて録音した後、全体の1/3ほどを書き直した。大きいのはオープニング。ゴールドスミスは最初からホラーっぽい不気味な雰囲気の音楽をつけない方がいいと考えたが、監督は逆の考えだった。そうして、一通り録音したところでゴールドスミスの仕事は終わった。しかし、その後、スタジオの判断で意図していない使い方をされ、さらにはゴールドスミスの過去作品『フロイド』から数カ所流用された。これは不安感を煽る意図があったようだ。極めつけはラストからエンドクレジットの音楽で、編集のテリー・ローリングス(かつては音響編集をしていた)が監督に推したハワード・ハンソンの交響曲第2番"ロマンティック"第1楽章に差し替えられてしまった。もっと明るく、希望のある雰囲気にしたかったのだろう。
 現在ではスコア完全盤としてINTRADAからゴールドスミスの意図通りのスコアと、映画で使用されたスコアを収録した2枚組がリリースされている(但し、『フロイド』とハンソンは未収録)。→■AMAZON■TOWER
 流用された『フロイド』はVARESE SARABANDEから限定盤がリリースされている。→■TOWER

 なお、ハワード・ハンソンはアメリカの代表的なクラシカルな現代音楽作曲家であり、1981年没。自身の指揮による録音が有名だが、本作で使用された録音は1967年のチャールズ・ゲルハルト指揮、RCAシンフォニー・オーケストラのもの。因縁めいているが、このオーケストラはそののち、ナショナル・フィルハーモニック・オーケストラと名を改める。言うまでもなく、本作の演奏をしたオケである。→■TOWERRCA Symphony Orchestra: Light Classical Treasures - Various Artists

Legend_silva_americaレジェンド 光と闇の伝説(1985)
 /ジェリー・ゴールドスミス、タンジェリン・ドリーム

 同じくリドリー・スコット監督によるファンタジー。『エンゼル・ハート』の原作者ウィリアム・ヒョーツバーグによるオリジナル脚本で、闇の魔王が光の力を持つユニコーンを滅ぼそうとする。トム・クルーズ、ティム・カリー出演。ロブ・ボッティンのデザインとメイクの技が冴えた一品。
『エイリアン』の公開時に自分のスコアが意図と違うように使われ、さらにエンドクレジットが差し替えられてしまったことに気づき、不満と不信を抱いていたゴールドスミスだったが、シナリオに興味を持って引き受けた。その際、監督にこう言ったという。「リドリー、君はコミュニケイトできない。私は4ヶ月あの映画で仕事をしたが、4回しか君と話していない。録音の間も君は一言も意見を言わなかった。私はフィードバックが欲しいんだよ」 監督はこれを受け入れ、今回は頻繁に意見の交換をすることになった。まず撮影が始まる前に取りかかったのはヒロインが口ずさむ2曲の歌だった。撮影時に必要となるからである。そして、それをモチーフに全体を仕上げていった。最終的に80数分のスコアをナショナル・フィルとアンブロージアン・シンガーズ、それにシンセで録音した。

 ところで、製作費が大きな作品になると、複数のスタジオが製作費を出し合って、配給エリアやビデオ化の利益を分けたりしてリスクを減らすことが増えてきた。『タイタニック』がそうで、20世紀フォックスだけでは負担できない規模に膨れ上がった製作費を分けて、ヒットしそうにないリスクを回避しようとした。もっとも、これは大失敗で、あれほどヒットするとわかっていれば1社でなんとかしただろう。ちょっと金を出しただけのパラマウントはアメリカ国内の配給をして大儲けすることになったのだ。本作もすべてパインウッドスタジオを使ったセットでの撮影、しかも、凝り性の監督となったことで製作費が膨らみ、製作に複数のスタジオがからんできたことが問題を生んだ。具体的にはアメリカ国内と近隣国配給はユニバーサル、それ以外は20世紀フォックスで配給をわけることになったのだ。
 監督は当初140分で完成したフィルムを114分に編集するのに苦闘していた。さらに20世紀フォックスから94分にするようにと言われる。当然音楽も変更が必要となり、様々な手法が使われた。本来意図されていた個所ではない部分に付け替えたり、音楽をつけないと作曲家と監督で決めたキッチンでのアクションシーンも短くなったために音楽の必要が生じ、ゴールドスミスの『サイコ2』やライブラリーミュージックから取ってきて付け加えた。とにかく、それで20世紀フォックス版は完成し、日本でも公開された。

 アメリカ国内向けではさらに事情が複雑になった。ユニバーサルのシドニー(シド)・シャインバーグ(『未来世紀ブラジル』におけるテリー・ギリアム監督との編集戦争などで悪名高い)はターゲットとする観客(トム・クルーズ主演と言うことでティーンエイジャーだったろう)にテスト試写を行った。結果は散々で、観客はファンタジーを理解できず、笑いさえした。シャインバーグはアメリカ公開を半年延期し、追加撮影と再編集に口を出し始めた。音楽についてもティーンエイジャーを意識してタンジェリン・ドリームが選ばれ、監督は彼らにコンタクトした。

 タンジェリン・ドリームはドイツのシンセロックバンドで、初期の実験的なスタイルからメンバーチェンジをすることで徐々に音楽性も変化し、ウィリアム・フリードキン監督の『恐怖の報酬』(1977年)で映画音楽に進出した。しかし、この時のメンバー(エドガー・フローゼ、クリストファー・フランケ、ピーター・バウマン)は本作とは違っている。1977年にバウマンは脱退し、若干の移動の後、1980年にヨハネス・シュメーリングが加入。シュメーリングが脱退する1986年まではファンの間で第2次黄金期と呼ばれている。この間は最も映画音楽の担当が多い時期でもあり、『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』に始まり、『ザ・キープ』や『炎の少女チャーリー』など15作以上。いずれも特徴的なリズムと無機質なメロディからなるスコアだが、最後となった本作についてはリズムは控えめで、『恐怖の報酬』のような空気感が印象的。ゴールドスミスのスコアがついた状態で映画を観たということもあり、影響を受けたのかも知れない。
 シャインバーグはさらにティーンエイジャー向けにしようと考え、公開前にタンジェリン・ドリームの関与なしにラストシーンのスコアに歌詞をつけ、YESのジョン・アンダーソンに歌わせ、エンドクレジットには新たにブライアン・フェリーの歌を追加した。このアメリカ公開版は89分とさらに短くなっている。

 現在、ディレクターズカットとして発売されているのは監督が最初にゴールドスミスと計画したとおりの140分のヴァージョンではなく、114分に編集したものである。すでに存在しないと思われていたが、2000年に発見され、2002年にDVDで発売。日本では今年になって日本公開版とセットで、アメリカではアメリカ公開版とのセットでBD化されている。残念ながら、このヴァージョンでも『サイコ2』などの音楽はそのまま使われている。

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2012年6月25日 (月)

リジェクトスコア 12

 ジェリー・ゴールドスミスはさすがに最も多いので、4回に分けます。まず1回目。

五月の七日間(1963)
 /デイヴィッド・アムラン→ジェリー・ゴールドスミス

 ロッド・サーリングの脚本をジョン・フランケンハイマー監督が映画化したポリティカルサスペンス。バート・ランカスター、カーク・ダグラス出演。
 フランケンハイマーとアムランはそれまで2作で組んでいた。監督が撮影後にパリに行かなければならなくなり、アムランはその間に録音をしていた。しかし、製作者はアムランの音楽を嫌い、ハリウッドの作曲家を起用する。それがゴールドスミスで、スネアドラムを使ったミニマルっぽいスコアを仕上げる。アムランのスコアはジュークボックスから流れるソースミュージックとして2分半だけが使われた。
 フランケンハイマーはその後、『セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進』と『最後のサムライ/ザ・チャレンジ』の2作品でゴールドスミスを起用した。後年、『RONIN』と『レインディア・ゲーム』にも起用しようとしたが、前者はスケジュールがあわず、後者はデモを録音したが、『13ウォーリアーズ』で急遽マイケル・クライトンに召喚されたため果たせなかった。

Chinatownチャイナタウン(1974)
 /フィリップ・ランブロ→ジェリー・ゴールドスミス

 ロマン・ポランスキー監督によるハードボイルドの名作。ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ主演。
 ポランスキーが長年組んでいた作曲家クリストフ・コメダは1969年に自動車事故で亡くなっていた。そのため、『ローズマリーの赤ちゃん』の撮影時に会ったランブロを起用することにした(俳優ジョン・カサヴェテスが彼の監督作『フェイシズ』に起用したいと思って呼んでいた)。ランブロはサックスを使ったメインテーマと、主役ふたりの愛のテーマをメインにした20数分のスコアを書き、監督と音楽の効果について確認しあった。製作者ロバート・エヴァンスも満足し、ボーナスとして1000ドルを追加で支払った。
 しかし、監督の友人である作曲家ブロニスラウ・ケイパー(1902年ポーランド生まれで、『戦艦バウンティ』などを担当した大御所。1983年没.。1933年生まれのポランスキーとは年齢が随分離れているが、同じポーランド人という繋がり)を試写に招いたところ、映画については好意的だったが、音楽について批判的なコメントが飛び出した。特に監督も納得していたラストシークエンスを批判した。公開まで2週間しかなかったが、エヴァンスは差し替えを決める。ポランスキーが次の映画のためにヨーロッパに戻る前にゴールドスミスが呼ばれ、エヴァンスと共に意見交換をする。エヴァンスは当時バニー・ベリガン(30年代のスウィングジャズのトランペッター)に夢中になっており、その方向性を提案した。しかし、30年代に少年時代を映画の舞台となったLAで過ごしたゴールドスミスは30年代の映画に30年代の音楽をつけたのではくどすぎると言い、別の方法を試させてくれと提案し、了承された。結果的に30分足らずのスコアはオスカーノミネート(受賞は『ゴッドファーザー2』)され、エヴァンスは「音楽が映画を救った」と絶賛した。
 普通ならこれで終わるところだが、おまけがふたつ。
 公開前の宣伝でパラマウントはランブロの音楽を使いたいと考えた。それを知ったランブロは自分のスコアの所有権を買い戻し、TVCM、ラジオCM、劇場予告編用に音楽使用料を受け取った。但し、この録音をリリースする場合、『チャイナタウン』といういかなる説明もつけないという契約条項がつけられ、アルバム化は困難になる。
 そこで、PERSEVERANCEレーベルがランブロのスコアを再録音してリリースするために、資金19000ドルを集めようと一口10ドルでカンパを募ったが、12人しか賛同者がいなかったため、頓挫してしまった。

2012年11月追記:PERSEVERANCEは再録音を諦め、当時のアナログ音源からアルバムをリリースした。詳細はこちら

ス★パ★イ(1974)
 /ジョン・スコット、ジェリー・ゴールドスミス

 ドナルド・サザーランドとエリオット・グールドが『M★A★S★H マッシュ』の大ヒットに続いて主演したスパイコメディ。アーヴィン・カーシュナー監督。
 イギリス・アメリカのプロデューサーがいたことが原因で、欧州ヴァージョンとアメリカヴァージョンが出来てしまった。欧州ではスコットが回転木馬のようなメインテーマをつけ、エンドクレジットでは出演者がそのテーマを口ずさむというおまけまでついていた。しかし、アメリカ側の20世紀フォックスはそれに満足できず、ゴールドスミスに新しいスコアをつけさせた。スコットのスコアはリリースされていないが、ゴールドスミスのスコアはVARESE SARABANDEがリリースした"JERRY GOLDSMITH AT 20TH CENTURY FOX"に収録された。

大いなる決闘(1976)
 /レナード・ローゼンマン→ジェリー・ゴールドスミス

 アンドリュー・V・マクラグレン監督、チャールトン・ヘストン、ジェームズ・コバーン、バーバラ・ハーシー出演の西部劇。
 ローゼンマンが見せられたフィルムにはアヴァンギャルドな音楽がテンプトラックとしてつけられていた。それが当時の流行だったからだが、西部劇にそれがあうはずもない。ローゼンマンは自身の言葉によれば「最高にワイルドで前衛的な」スコアを書いたが、20世紀フォックスはローゼンマンのスコアをリジェクト。スタジオの倉庫から音楽を取り出し、置き換えることにした。それがゴールドスミスの過去作品で、『100挺のライフル』や『駅馬車』などから選ばれた。映画音楽は特別な契約がない限り、スタジオの所有物になるため、こういった流用は自由に出来るのである。そして、次の『エイリアン』でも同じようなことが起こってしまった。

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2012年6月23日 (土)

リジェクトスコア 11

 2000年代の有名作品その3。

チーム★アメリカ/ワールドポリス(2004)
 /マーク・シェイマン→ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

 過激なTVアニメシリーズ『サウスパーク』のスタッフが製作した『サンダーバード』っぽい人形劇。ただし、当然ながら過激。
 シェイマンは『サウスパーク無修正映画版』でトレイ・パーカー監督と組んでいたので引き続き担当することになった。監督とシェイマンはブラッカイマー風(つまりハンス・ジマー率いるRC風)のスコアを意識していた。大規模なオーケストラを使った録音は終わり、監督との共作による挿入歌2曲も作った(ちなみに、他の歌は監督による)。しかし、監督には出来上がったスコアを聞いている余裕はなかった。再編集と再構成と再撮影に忙殺されていたのだ。ようやくスコアを聴いた監督はふざけすぎで、音楽がべったりと張り付きすぎだと感じた。公開まですでに1ヶ月を切っており、スタジオは作曲家の変更を決める。ハリー・グレッグソン=ウィリアムズはまさにテンプトラックにしていたRCの関係者(在籍はしていない)でブラッカイマー作品を多く担当している。時間がないため、スティーヴ・ジャブロンスキーなどのRCの若手に助力を頼み、作業に入った。最終的に映画に使われたのは典型的なブラッカイマー映画的なアクションスコアと、若干のコメディスコア、それにシャイマンと監督の作った歌となった。奇妙なことに、スコアはRCのアクション用ストックミュージックそのまんまである。
 なお、サントラは急いで作ったあまり、音楽のクレジットにシャイマンの名前が残り、「プレス時には個々の曲のプロデューサーと作曲者のクレジットは確定しておりません」と但し書きが入り、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズの名前はどこにも入っていない。

コンスタンティン(2005)
 /ブライアン・タイラー、クラウス・バデルト

 アメコミ『ヘルブレイザー』をキアヌ・リーヴス主演で映画化。フランシス・ローレンス監督の初劇場作品。
 映画の仕事が初めてだった監督とタイラーはテンプトラックがつけられたフィルムを見て方向性を決めた。その時のテンプトラックとしてタイラーの『フレイルティー/妄執』も使われていたという。ダークな音楽と言うことで一致したため、タイラーはスコアを書き上げ、録音を終える。実際に映像と合わせた段階で、もう少しユーモアを付け加えた方がいいとなり、スタジオはバデルトに追加音楽の依頼をする。タイラーは変更を嫌がらず、それどころかバデルトと共に変更分の音楽について話し合い、仕事を進めていった。というわけで、共作という形式になったが、こういうパターンは珍しい。

イーオン・フラックス(2005)
 /セオドア・シャピロ→ラインホルト・ハイル&ジョニー・クリメック→グレアム・レヴェル

 韓国・アメリカ合作のSFアニメをカリン・クサマ監督、シャーリーズ・セロン主演で実写化。
 元のアニメ版の作曲家は選択されず、まずシャピロに依頼された。しかし、(レヴェルが言うには)感傷的すぎるという理由でリジェクト。代わりに『ラン・ローラ・ラン』などのドイツ出身のふたり組が選ばれた。これもリジェクト。最後にレヴェルが選ばれた。すでに時間に余裕がなかったが、短期間での仕事に慣れていたレヴェルには2週間あれば充分だった。

キング・コング(2005)
 /ハワード・ショア→ジェイムズ・ニュートン=ハワード

 ピーター・ジャクソンが『ロード・オブ・ザ・リング』の大ヒットで、子供の頃からの夢だった名作のリメイクに挑んだ大作。最近では最も有名なリジェクト事例だろう。
 監督は『ロード・オブ・ザ・リング』に続いてショアに依頼し、ショアは途中まで録音を終えていた。しかし、監督との音楽的方向性の違いが明らかになってくると、これ以上、友情に亀裂が入らないうちに友好的に降板することになった。この時の音楽の一部が公式サイトのビデオダイアリーで録音風景として公開されていたが、ショアの降板と共に削除されてしまった(下のビデオ)。その後のJNハワードのスコアを考えると、もっとダークでパーカッションが入る『ロード・オブ・ザ・リング』のオーク族のような感じになっていたのではないだろうか。
 なお、ショアは劇中、ニューヨークでのコングお披露目のシーンで指揮者として出演している。

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(2008)
 /ランディ・エデルマン、ジョン・デブニー

 ブレンダン・フレイザー主演の冒険活劇第3弾。これまでの監督スティーヴン・ソマーズは製作に回り、代わってロブ・コーエンが監督になった。
 監督はそれまで何度かコンビを組んでいたエデルマンに依頼し、彼はこれまでで最も規模の大きなアクションスコアを書き上げた。しかし、ポストプロダクションの間にアクションシーンが幾つか変更され、特殊効果も付け加えられた。エデルマンのスコアはシーンにぴったり合わせてフィルムスコアリングしていたため、音楽を作り直す必要が生じた。しかし、その時エデルマンは病に伏せっており、代わりに前作のスピンオフ作品『スコーピオン・キング』で起用したデブニーが選ばれた。最終的にエデルマンが60分、デブニーが30分という構成になっている。しかし、デブニーのスコアは効果音にかき消されてほとんど聞こえない。必要なかったんじゃないかと皮肉混じりに"TORN MUSIC"には書かれている。
 サントラはエデルマンのスコアのみなので、映画には使われなかったスコアも収録されている。

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