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2012年6月30日 (土)

リジェクトスコア 14

 ジェリー・ゴールドスミスの3回目。

Alien_nationエイリアン・ネイション(1988)
 /ジェリー・ゴールドスミス→カート・ソベル

 グラハム・ベイカー監督、ジェイムズ・カーン主演のSFアクション。エイリアンが地球に移住している未来のLAで警官がエイリアンの相棒と事件を追う。
 監督は『最後の闘争/オーメン3』でゴールドスミスと組んでいた。本作のスコアは『未来警察』などと同じく、すべて自身によるシンセの演奏のみというスタイルだった。重いシンセサウンドで激しいアクションスコアを書く一方、メロディアスな愛のテーマも加えている(この愛のテーマは前年にオリヴァー・ストーン監督の『ウォール街』のために作った曲だが、方向性の違いのため、この曲だけを書いて降板している)。録音が進む間に、映画の方は問題が起こっていた。後半部分で大きな再編集が行われていたのだ。当然、音楽にも手を入れなければならなくなったが、ゴールドスミスはすでにスケジュールが詰まっており、やり直しが出来ない状況だった。結局、降板せざるを得なくなり、代わりにソベルが呼ばれた。ソベルのスコアもシンセを基調にしたスコアだったが、メインとなるメロディに欠けていた。
 ソベルのスコアはリリースされなかったが、ゴールドスミスのスコアは限定盤がVARESE SARABANDEからリリースされた。これを聴けばわかるが、愛のテーマは『ロシア・ハウス』のメインテーマとなって復活している。3作品を渡っていっただけに、完成形はしっとりとした仕上がりになっていた。

追記:ソベルのスコアとゴールドスミスのスコアカップリングがリリースされた→■TOWER

ファイティング・キッズ(1991)
 /ジェリー・ゴールドスミス→ブラッド・フィーデル

 ローディー・ヘリントン監督による、裏世界のボクシングを通して成長する少年たちの物語。キューバ・グッディングJr.など出演。
 80年代は昔つきあいのあった監督からの仕事を引き受けていたが、今後どうやって仕事を得るか考え直していたゴールドスミスは新しいエージェントと契約する。そして、今後伸びそうな監督と組むことにした。それが90年代の作風の変化ととらえられた面もある。本作もその一環であり、シンセとオケによる『勝利への旅立ち』を少しダークで都会的にしたようなスコアを書き上げた。しかし、コミュニケーションがうまく行かず、降板。代わったフィーデルもシンセスコアだったが、ゴールドスミスよりも現代的な音になっている。
 どちらのスコアもサントラはリリースされていないが、ゴールドスミスのスコアは一部が『失踪』に生かされている。

Public_eyeパブリック・アイ(1992)
 /ジェリー・ゴールドスミス→マーク・アイシャム

『薔薇の名前』の脚本家ハワード・フランクリンが監督した、写真家アーサー・H・フェリグの伝記映画。ジョー・ペッシがフェリグを演じた。
 監督はフィルムノワール的なスコアを欲し、『チャイナタウン』を担当したゴールドスミスを選んだ。ゴールドスミスは『チャイナタウン』よりもダークで、シンセとシンセドラムを加えたスコアを書き、メインテーマはトランペットとピアノを加えた。しかし、このスコアは製作者が納得せず、アイシャムに交代となった。アイシャムはジャズを基本として、より現代的なスコアを書き上げ、このジャンルでは評価の高いスコアとなった。

River_wild激流(1994)
 /モーリス・ジャール→ジェリー・ゴールドスミス

 カーティス・ハンソン監督、メリル・ストリープ、ケヴィン・ベーコン主演のサスペンス。川下りに来た一家が出会った男は危険な相手だった。
 ジャールは『目撃者』のようなシンセのスコアを書き上げた。監督も満足し、サントラ用のライナーノートさえ書いたほどだった。しかし、テスト試写で不評となり、ユニバーサルのトップ、シド・シャインバーグ(また出た)はすぐに音楽の差し替えを命令。監督は驚きながらもゴールドスミスを提案し、了承された。ゴールドスミスはシンセを加えたオーケストラスコアを書きあげた。シャインバーグはそのスコアにも不満だったが、すでにやり直す時間がなかった。
 ゴールドスミスの作曲と録音の様子はフレッド・カーリンが製作したFILM MUSIC MASTERSという豪華版BOXセットのビデオに収録され、後にDVD化されている。
 ハンソン監督は次回作『LAコンフィデンシャル』でもゴールドスミスを起用し、そのスコアはオスカーノミネートされることになる。
 なお、ジャールのスコアは4枚組作品集Le Cinema De Maurice Jarreに1曲収録されている。また、TADLOWレーベルの『砂漠のライオン』に、ボツスコアを使用したオリジナル曲"GIUBILEO"が収録されている。

追記:ジャールのスコアとゴールドスミスの完全版が収録されたアルバムが発売された→■TOWER

2days2 days トゥー・デイズ(1996)
 /ジェリー・ゴールドスミス→アンソニー・マリネリ

 スタローンの『コブラ』に出演もしていたジョン・ハーツフェルドが監督したサスペンスフルな群像劇。
 本作は小規模な映画だったが、プロデューサーのハーブ・ナナスは『ランボー』で仕事をしたゴールドスミスに依頼した。ゴールドスミスはダークな『チャイナタウン』のようなスコアを書き上げたが、監督は満足できなかった。そこでスコアだけでなく、挿入歌も担当できるとしてマリネリを起用した。
 マリネリのスコアはリリースされなかったが、ゴールドスミスのスコアはつい最近INTRADAよりリリースされた→ブログ

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