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2012年6月の記事

2012年6月30日 (土)

リジェクトスコア 14

 ジェリー・ゴールドスミスの3回目。

Alien_nationエイリアン・ネイション(1988)
 /ジェリー・ゴールドスミス→カート・ソベル

 グラハム・ベイカー監督、ジェイムズ・カーン主演のSFアクション。エイリアンが地球に移住している未来のLAで警官がエイリアンの相棒と事件を追う。
 監督は『最後の闘争/オーメン3』でゴールドスミスと組んでいた。本作のスコアは『未来警察』などと同じく、すべて自身によるシンセの演奏のみというスタイルだった。重いシンセサウンドで激しいアクションスコアを書く一方、メロディアスな愛のテーマも加えている(この愛のテーマは前年にオリヴァー・ストーン監督の『ウォール街』のために作った曲だが、方向性の違いのため、この曲だけを書いて降板している)。録音が進む間に、映画の方は問題が起こっていた。後半部分で大きな再編集が行われていたのだ。当然、音楽にも手を入れなければならなくなったが、ゴールドスミスはすでにスケジュールが詰まっており、やり直しが出来ない状況だった。結局、降板せざるを得なくなり、代わりにソベルが呼ばれた。ソベルのスコアもシンセを基調にしたスコアだったが、メインとなるメロディに欠けていた。
 ソベルのスコアはリリースされなかったが、ゴールドスミスのスコアは限定盤がVARESE SARABANDEからリリースされた。これを聴けばわかるが、愛のテーマは『ロシア・ハウス』のメインテーマとなって復活している。3作品を渡っていっただけに、完成形はしっとりとした仕上がりになっていた。

追記:ソベルのスコアとゴールドスミスのスコアカップリングがリリースされた→■TOWER

ファイティング・キッズ(1991)
 /ジェリー・ゴールドスミス→ブラッド・フィーデル

 ローディー・ヘリントン監督による、裏世界のボクシングを通して成長する少年たちの物語。キューバ・グッディングJr.など出演。
 80年代は昔つきあいのあった監督からの仕事を引き受けていたが、今後どうやって仕事を得るか考え直していたゴールドスミスは新しいエージェントと契約する。そして、今後伸びそうな監督と組むことにした。それが90年代の作風の変化ととらえられた面もある。本作もその一環であり、シンセとオケによる『勝利への旅立ち』を少しダークで都会的にしたようなスコアを書き上げた。しかし、コミュニケーションがうまく行かず、降板。代わったフィーデルもシンセスコアだったが、ゴールドスミスよりも現代的な音になっている。
 どちらのスコアもサントラはリリースされていないが、ゴールドスミスのスコアは一部が『失踪』に生かされている。

Public_eyeパブリック・アイ(1992)
 /ジェリー・ゴールドスミス→マーク・アイシャム

『薔薇の名前』の脚本家ハワード・フランクリンが監督した、写真家アーサー・H・フェリグの伝記映画。ジョー・ペッシがフェリグを演じた。
 監督はフィルムノワール的なスコアを欲し、『チャイナタウン』を担当したゴールドスミスを選んだ。ゴールドスミスは『チャイナタウン』よりもダークで、シンセとシンセドラムを加えたスコアを書き、メインテーマはトランペットとピアノを加えた。しかし、このスコアは製作者が納得せず、アイシャムに交代となった。アイシャムはジャズを基本として、より現代的なスコアを書き上げ、このジャンルでは評価の高いスコアとなった。

River_wild激流(1994)
 /モーリス・ジャール→ジェリー・ゴールドスミス

 カーティス・ハンソン監督、メリル・ストリープ、ケヴィン・ベーコン主演のサスペンス。川下りに来た一家が出会った男は危険な相手だった。
 ジャールは『目撃者』のようなシンセのスコアを書き上げた。監督も満足し、サントラ用のライナーノートさえ書いたほどだった。しかし、テスト試写で不評となり、ユニバーサルのトップ、シド・シャインバーグ(また出た)はすぐに音楽の差し替えを命令。監督は驚きながらもゴールドスミスを提案し、了承された。ゴールドスミスはシンセを加えたオーケストラスコアを書きあげた。シャインバーグはそのスコアにも不満だったが、すでにやり直す時間がなかった。
 ゴールドスミスの作曲と録音の様子はフレッド・カーリンが製作したFILM MUSIC MASTERSという豪華版BOXセットのビデオに収録され、後にDVD化されている。
 ハンソン監督は次回作『LAコンフィデンシャル』でもゴールドスミスを起用し、そのスコアはオスカーノミネートされることになる。
 なお、ジャールのスコアは4枚組作品集Le Cinema De Maurice Jarreに1曲収録されている。また、TADLOWレーベルの『砂漠のライオン』に、ボツスコアを使用したオリジナル曲"GIUBILEO"が収録されている。

追記:ジャールのスコアとゴールドスミスの完全版が収録されたアルバムが発売された→■TOWER

2days2 days トゥー・デイズ(1996)
 /ジェリー・ゴールドスミス→アンソニー・マリネリ

 スタローンの『コブラ』に出演もしていたジョン・ハーツフェルドが監督したサスペンスフルな群像劇。
 本作は小規模な映画だったが、プロデューサーのハーブ・ナナスは『ランボー』で仕事をしたゴールドスミスに依頼した。ゴールドスミスはダークな『チャイナタウン』のようなスコアを書き上げたが、監督は満足できなかった。そこでスコアだけでなく、挿入歌も担当できるとしてマリネリを起用した。
 マリネリのスコアはリリースされなかったが、ゴールドスミスのスコアはつい最近INTRADAよりリリースされた→ブログ

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2012年6月29日 (金)

2012年8月の新譜

 個人的に注目の新作サントラを月ごとに紹介するコーナー。情報が更新されたり、新しい情報が入った場合は適時追加されますのでご注意を。

Kenshinるろうに剣心

■AMAZON
■@TOWER

8月1日発売
 人気コミックを実写映画化。主演佐藤健、武井咲、吉川晃司など。
 音楽は『龍馬伝』の佐藤直紀。

Chariots of Fire (Stage Play)

■AMAZON
■@TOWER

8月7日発売
『炎のランナー』の舞台版。
 音楽は映画と同じくヴァンゲリス。映画版に新曲を加えている。

ParanormanPARANORMAN

■AMAZON

8月14日発売
『コララインとボタンの魔女』のストーリーボードを担当したクリス・バトラーと『マウス・タウン ロディとリタの大冒険』のサム・フェルが監督したストップモーションアニメ。
 音楽は『マグノリア』などのジョン・ブライオン。

Arabia1cdアラビアのロレンス

■AMAZON
■@TOWER

8月14日発売
 50周年記念盤となっているが、内容は以前TADLOWからリリースされた再録盤2枚組のうち、1枚目のロレンスのみをアメリカ版としてリリースしたもの。

FantasticfearA Fantastic Fear of Everything

■AMAZON

8月21日発売
 サイモン・ペグ主演のイギリスのコメディ。ヴィクトリア朝の連続殺人犯を調べて犯罪小説家に転身した児童文学作家が強迫観念と戦うというブラックコメディ。
 音楽は『シャーロック』のマイケル・プライス。イギリス盤。スコアの他にセリフや挿入歌など収録のコンピ。

Apparition

■AMAZON

2012/08/21発売
 大学の実験で超自然の存在に取り憑かれてしまったカップルを描くホラー。
 音楽はTOMANDANDY。


Darksiders II

■AMAZON

2012/08/14発売
 ゲーム『ダークサイダーズ ~審判の時~』の続編。ゲーム日本版は10月18日発売。
 音楽はジャスパー・キッド。2枚組。

以下は当月発売になりそうな作品。

トータル・リコール→ダウンロード

エクスペンダブルズ2→9月17日

PERCY JACKSON: SEA OF MONSTERS

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海底軍艦/マタンゴ

Gotengo海底軍艦(1963)
マタンゴ(1963)

■TOHO MUSIC

7月11日発売
 東宝特撮映画シリーズ。海底軍艦とマタンゴという路線の全然違う作品をカップリング。同年製作ということだろう。
 海底軍艦は音楽:伊福部昭、32曲+ボーナス5曲+ヴァージョン違い8曲。マタンゴは音楽:別宮貞雄、31曲+ボーナス5曲。24ページのブックレット、リバーシブルジャケット。

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ラ・ワン

Ra-one

■AMAZON MP3
Ra-One (Original Motion Picture Soundtrack) - Various Artists

 あの『ロボット』とちょっとだけ関係のあるインド製SFアクション映画のサントラ。
 インドなので、当然半分以上はダンスミュージック。

 最近、インド映画サントラがiTUNESとAMAZONに大量に出るようになったなぁ。

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2012年6月27日 (水)

リジェクトスコア 13

 ジェリー・ゴールドスミスの2回目。リドリー・スコット監督の2作品を丁寧に。

エイリアン(1978)

 "TORN MUSIC"には記載されていないが、これも立派なリジェクトである。
 リドリー・スコット監督の初ハリウッド監督作品にして、幾つものシリーズが製作され、今また前日譚『プロメテウス』が公開される人気シリーズの第一作。ちなみに『プロメテウス』でも一部にゴールドスミスのモチーフが使用されている。
 監督とゴールドスミスはあまりコミュニケーションが取れない状態で作業をしたという。意思の疎通が充分な状態でなかったために一旦すべて録音した後、全体の1/3ほどを書き直した。大きいのはオープニング。ゴールドスミスは最初からホラーっぽい不気味な雰囲気の音楽をつけない方がいいと考えたが、監督は逆の考えだった。そうして、一通り録音したところでゴールドスミスの仕事は終わった。しかし、その後、スタジオの判断で意図していない使い方をされ、さらにはゴールドスミスの過去作品『フロイド』から数カ所流用された。これは不安感を煽る意図があったようだ。極めつけはラストからエンドクレジットの音楽で、編集のテリー・ローリングス(かつては音響編集をしていた)が監督に推したハワード・ハンソンの交響曲第2番"ロマンティック"第1楽章に差し替えられてしまった。もっと明るく、希望のある雰囲気にしたかったのだろう。
 現在ではスコア完全盤としてINTRADAからゴールドスミスの意図通りのスコアと、映画で使用されたスコアを収録した2枚組がリリースされている(但し、『フロイド』とハンソンは未収録)。→■AMAZON■TOWER
 流用された『フロイド』はVARESE SARABANDEから限定盤がリリースされている。→■TOWER

 なお、ハワード・ハンソンはアメリカの代表的なクラシカルな現代音楽作曲家であり、1981年没。自身の指揮による録音が有名だが、本作で使用された録音は1967年のチャールズ・ゲルハルト指揮、RCAシンフォニー・オーケストラのもの。因縁めいているが、このオーケストラはそののち、ナショナル・フィルハーモニック・オーケストラと名を改める。言うまでもなく、本作の演奏をしたオケである。→■TOWERRCA Symphony Orchestra: Light Classical Treasures - Various Artists

Legend_silva_americaレジェンド 光と闇の伝説(1985)
 /ジェリー・ゴールドスミス、タンジェリン・ドリーム

 同じくリドリー・スコット監督によるファンタジー。『エンゼル・ハート』の原作者ウィリアム・ヒョーツバーグによるオリジナル脚本で、闇の魔王が光の力を持つユニコーンを滅ぼそうとする。トム・クルーズ、ティム・カリー出演。ロブ・ボッティンのデザインとメイクの技が冴えた一品。
『エイリアン』の公開時に自分のスコアが意図と違うように使われ、さらにエンドクレジットが差し替えられてしまったことに気づき、不満と不信を抱いていたゴールドスミスだったが、シナリオに興味を持って引き受けた。その際、監督にこう言ったという。「リドリー、君はコミュニケイトできない。私は4ヶ月あの映画で仕事をしたが、4回しか君と話していない。録音の間も君は一言も意見を言わなかった。私はフィードバックが欲しいんだよ」 監督はこれを受け入れ、今回は頻繁に意見の交換をすることになった。まず撮影が始まる前に取りかかったのはヒロインが口ずさむ2曲の歌だった。撮影時に必要となるからである。そして、それをモチーフに全体を仕上げていった。最終的に80数分のスコアをナショナル・フィルとアンブロージアン・シンガーズ、それにシンセで録音した。

 ところで、製作費が大きな作品になると、複数のスタジオが製作費を出し合って、配給エリアやビデオ化の利益を分けたりしてリスクを減らすことが増えてきた。『タイタニック』がそうで、20世紀フォックスだけでは負担できない規模に膨れ上がった製作費を分けて、ヒットしそうにないリスクを回避しようとした。もっとも、これは大失敗で、あれほどヒットするとわかっていれば1社でなんとかしただろう。ちょっと金を出しただけのパラマウントはアメリカ国内の配給をして大儲けすることになったのだ。本作もすべてパインウッドスタジオを使ったセットでの撮影、しかも、凝り性の監督となったことで製作費が膨らみ、製作に複数のスタジオがからんできたことが問題を生んだ。具体的にはアメリカ国内と近隣国配給はユニバーサル、それ以外は20世紀フォックスで配給をわけることになったのだ。
 監督は当初140分で完成したフィルムを114分に編集するのに苦闘していた。さらに20世紀フォックスから94分にするようにと言われる。当然音楽も変更が必要となり、様々な手法が使われた。本来意図されていた個所ではない部分に付け替えたり、音楽をつけないと作曲家と監督で決めたキッチンでのアクションシーンも短くなったために音楽の必要が生じ、ゴールドスミスの『サイコ2』やライブラリーミュージックから取ってきて付け加えた。とにかく、それで20世紀フォックス版は完成し、日本でも公開された。

 アメリカ国内向けではさらに事情が複雑になった。ユニバーサルのシドニー(シド)・シャインバーグ(『未来世紀ブラジル』におけるテリー・ギリアム監督との編集戦争などで悪名高い)はターゲットとする観客(トム・クルーズ主演と言うことでティーンエイジャーだったろう)にテスト試写を行った。結果は散々で、観客はファンタジーを理解できず、笑いさえした。シャインバーグはアメリカ公開を半年延期し、追加撮影と再編集に口を出し始めた。音楽についてもティーンエイジャーを意識してタンジェリン・ドリームが選ばれ、監督は彼らにコンタクトした。

 タンジェリン・ドリームはドイツのシンセロックバンドで、初期の実験的なスタイルからメンバーチェンジをすることで徐々に音楽性も変化し、ウィリアム・フリードキン監督の『恐怖の報酬』(1977年)で映画音楽に進出した。しかし、この時のメンバー(エドガー・フローゼ、クリストファー・フランケ、ピーター・バウマン)は本作とは違っている。1977年にバウマンは脱退し、若干の移動の後、1980年にヨハネス・シュメーリングが加入。シュメーリングが脱退する1986年まではファンの間で第2次黄金期と呼ばれている。この間は最も映画音楽の担当が多い時期でもあり、『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』に始まり、『ザ・キープ』や『炎の少女チャーリー』など15作以上。いずれも特徴的なリズムと無機質なメロディからなるスコアだが、最後となった本作についてはリズムは控えめで、『恐怖の報酬』のような空気感が印象的。ゴールドスミスのスコアがついた状態で映画を観たということもあり、影響を受けたのかも知れない。
 シャインバーグはさらにティーンエイジャー向けにしようと考え、公開前にタンジェリン・ドリームの関与なしにラストシーンのスコアに歌詞をつけ、YESのジョン・アンダーソンに歌わせ、エンドクレジットには新たにブライアン・フェリーの歌を追加した。このアメリカ公開版は89分とさらに短くなっている。

 現在、ディレクターズカットとして発売されているのは監督が最初にゴールドスミスと計画したとおりの140分のヴァージョンではなく、114分に編集したものである。すでに存在しないと思われていたが、2000年に発見され、2002年にDVDで発売。日本では今年になって日本公開版とセットで、アメリカではアメリカ公開版とのセットでBD化されている。残念ながら、このヴァージョンでも『サイコ2』などの音楽はそのまま使われている。

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ダウンロードサントラ

Moon Breakers

■AMAZON
Moon Breakers - EP - Bear McCreary

 なんと、こんなものまでリリースされるようになってきたか。GOOGLE CHROMEブラウザ用のアプリのサントラである。ゲームの詳細については公式サイトまで。
 音楽は『ウォーキング・デッド』などのベアー・マクレアリー。

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2012年6月26日 (火)

QUARTETの新譜2012/06/26

Le_sorelle姉妹(1969)
LE SORELLE

■QUARTET
■@TOWER

 ナタリー・ドロン主演のエロティックドラマ。
 音楽はジョルジオ・ガスリーニ。ボーナストラック追加で倍増。
 限定500枚

La_pacifista_1LA PACIFISTA(1969)

■QUARTET
■@TOWER

 ミクロシュ・ヤンチョー監督の政治ドラマ。
 音楽はジョルジオ・ガスリーニ。ボーナストラック追加で倍増。
 限定500枚

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インディ・ジョーンズ コンプリート・アドベンチャーズ

インディ・ジョーンズ コンプリート・アドベンチャーズ [Blu-ray]

■AMAZON

2012/09/14発売
 インディー・ジョーンズ4部作のBDセットが予約開始。
 1作目はコマ単位で修復したリストア版。2と3は色補正をしたリマスター版。特典映像を収録したBD1枚で、合計5枚組。
 数量限定封入特典としてフィルム・セルがついてくる。35mmフィルムを再現したということで、実際に使われたものではないので過度の期待は禁物か。

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INTRADAの新譜2012/06/26

Loveatfirstbiteドラキュラ都へ行く(1979)
LOVE AT FIRST BITE

■INTRADA
■@TOWER

 ジョージ・ハミルトンがドラキュラにふんして、トランシルヴァニアの城から部下を連れてニューヨークに行くというコメディ。ディスコで踊るドラキュラというアイディアが手塚治虫の『ドン・ドラキュラ』とかぶってしまい、手塚も驚いたという。
 音楽はチャールズ・バーンスティーン。LPでリリースされた従来盤は30分で半分以上の17分がディスコの主題歌2曲――"Dancin' Through The Night"と"Fly By Night"。純然たるスコアは少ないのだが、すべて主題歌も含めてバーンスティーンの作曲。今回のリリースはスコア47分に加えて主題歌2曲("Fly By Night"はショートヴァージョン)を収録。

訂正:INTRADAのサイト表記と実際のCDが違っている。スコアは39分で、主題歌はLPと同じ17分。

Masters1cdマスターズ/超空の覇者(1987)
MASTERS OF THE UNIVERSE

■INTRADA
■@TOWER

 キャノンフィルムによる玩具の映画化。ドルフ・ラングレン、フランク・ランジェラ出演。
 音楽はビル・コンティ。過去に3度もCD化され、42分→69分→117分とその度に長くなったが、最後のLA-LA LAND版は2枚組で、今回は1枚。というのも、LLL版はフィルムスコアとLP版の2種が収録されていたが、編集が違うだけで実際には重複していたため、今回はフィルムスコア76分のみ。LLL版はフィルムスコアが2枚にまたがっていたので、CDを入れ替えずに全部聴けるのが売りか。

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2012年6月25日 (月)

KRITZERLANDの新譜2012/06/25

Waywardbus気まぐれバス(1957)
THE WAYWARD BUS
眼下の敵(1957)
THE ENEMY BELOW

■KRITZERLAND
■@TOWER

 リー・ハーライン音楽、ライオネル・ニューマン指揮の2作品カップリング。
 前者はジョン・スタインベックの原作を映画化したドラマで、初サントラ化。後者はロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンス主演の第2次大戦の潜水艦と駆逐艦の攻防を描く名作。INTRADAでリリースされた物からボーナストラックをカットした。
 限定1000枚

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リジェクトスコア 12

 ジェリー・ゴールドスミスはさすがに最も多いので、4回に分けます。まず1回目。

五月の七日間(1963)
 /デイヴィッド・アムラン→ジェリー・ゴールドスミス

 ロッド・サーリングの脚本をジョン・フランケンハイマー監督が映画化したポリティカルサスペンス。バート・ランカスター、カーク・ダグラス出演。
 フランケンハイマーとアムランはそれまで2作で組んでいた。監督が撮影後にパリに行かなければならなくなり、アムランはその間に録音をしていた。しかし、製作者はアムランの音楽を嫌い、ハリウッドの作曲家を起用する。それがゴールドスミスで、スネアドラムを使ったミニマルっぽいスコアを仕上げる。アムランのスコアはジュークボックスから流れるソースミュージックとして2分半だけが使われた。
 フランケンハイマーはその後、『セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進』と『最後のサムライ/ザ・チャレンジ』の2作品でゴールドスミスを起用した。後年、『RONIN』と『レインディア・ゲーム』にも起用しようとしたが、前者はスケジュールがあわず、後者はデモを録音したが、『13ウォーリアーズ』で急遽マイケル・クライトンに召喚されたため果たせなかった。

Chinatownチャイナタウン(1974)
 /フィリップ・ランブロ→ジェリー・ゴールドスミス

 ロマン・ポランスキー監督によるハードボイルドの名作。ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ主演。
 ポランスキーが長年組んでいた作曲家クリストフ・コメダは1969年に自動車事故で亡くなっていた。そのため、『ローズマリーの赤ちゃん』の撮影時に会ったランブロを起用することにした(俳優ジョン・カサヴェテスが彼の監督作『フェイシズ』に起用したいと思って呼んでいた)。ランブロはサックスを使ったメインテーマと、主役ふたりの愛のテーマをメインにした20数分のスコアを書き、監督と音楽の効果について確認しあった。製作者ロバート・エヴァンスも満足し、ボーナスとして1000ドルを追加で支払った。
 しかし、監督の友人である作曲家ブロニスラウ・ケイパー(1902年ポーランド生まれで、『戦艦バウンティ』などを担当した大御所。1983年没.。1933年生まれのポランスキーとは年齢が随分離れているが、同じポーランド人という繋がり)を試写に招いたところ、映画については好意的だったが、音楽について批判的なコメントが飛び出した。特に監督も納得していたラストシークエンスを批判した。公開まで2週間しかなかったが、エヴァンスは差し替えを決める。ポランスキーが次の映画のためにヨーロッパに戻る前にゴールドスミスが呼ばれ、エヴァンスと共に意見交換をする。エヴァンスは当時バニー・ベリガン(30年代のスウィングジャズのトランペッター)に夢中になっており、その方向性を提案した。しかし、30年代に少年時代を映画の舞台となったLAで過ごしたゴールドスミスは30年代の映画に30年代の音楽をつけたのではくどすぎると言い、別の方法を試させてくれと提案し、了承された。結果的に30分足らずのスコアはオスカーノミネート(受賞は『ゴッドファーザー2』)され、エヴァンスは「音楽が映画を救った」と絶賛した。
 普通ならこれで終わるところだが、おまけがふたつ。
 公開前の宣伝でパラマウントはランブロの音楽を使いたいと考えた。それを知ったランブロは自分のスコアの所有権を買い戻し、TVCM、ラジオCM、劇場予告編用に音楽使用料を受け取った。但し、この録音をリリースする場合、『チャイナタウン』といういかなる説明もつけないという契約条項がつけられ、アルバム化は困難になる。
 そこで、PERSEVERANCEレーベルがランブロのスコアを再録音してリリースするために、資金19000ドルを集めようと一口10ドルでカンパを募ったが、12人しか賛同者がいなかったため、頓挫してしまった。

2012年11月追記:PERSEVERANCEは再録音を諦め、当時のアナログ音源からアルバムをリリースした。詳細はこちら

ス★パ★イ(1974)
 /ジョン・スコット、ジェリー・ゴールドスミス

 ドナルド・サザーランドとエリオット・グールドが『M★A★S★H マッシュ』の大ヒットに続いて主演したスパイコメディ。アーヴィン・カーシュナー監督。
 イギリス・アメリカのプロデューサーがいたことが原因で、欧州ヴァージョンとアメリカヴァージョンが出来てしまった。欧州ではスコットが回転木馬のようなメインテーマをつけ、エンドクレジットでは出演者がそのテーマを口ずさむというおまけまでついていた。しかし、アメリカ側の20世紀フォックスはそれに満足できず、ゴールドスミスに新しいスコアをつけさせた。スコットのスコアはリリースされていないが、ゴールドスミスのスコアはVARESE SARABANDEがリリースした"JERRY GOLDSMITH AT 20TH CENTURY FOX"に収録された。

大いなる決闘(1976)
 /レナード・ローゼンマン→ジェリー・ゴールドスミス

 アンドリュー・V・マクラグレン監督、チャールトン・ヘストン、ジェームズ・コバーン、バーバラ・ハーシー出演の西部劇。
 ローゼンマンが見せられたフィルムにはアヴァンギャルドな音楽がテンプトラックとしてつけられていた。それが当時の流行だったからだが、西部劇にそれがあうはずもない。ローゼンマンは自身の言葉によれば「最高にワイルドで前衛的な」スコアを書いたが、20世紀フォックスはローゼンマンのスコアをリジェクト。スタジオの倉庫から音楽を取り出し、置き換えることにした。それがゴールドスミスの過去作品で、『100挺のライフル』や『駅馬車』などから選ばれた。映画音楽は特別な契約がない限り、スタジオの所有物になるため、こういった流用は自由に出来るのである。そして、次の『エイリアン』でも同じようなことが起こってしまった。

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2012年6月23日 (土)

YAMATO SOUND ALMANAC第1回

 TVシリーズ第1作(1974年)から、劇場用作品「完結編」(1983年)までの作品をYAMATO SOUND ALMANACとして全30タイトルをリリース。すべてBlu-spec仕様。第1回は7月18日発売でこの4枚。以下、2ヶ月毎に発売予定。
 30作品のリストなど、詳しい情報は公式サイトをご覧ください。

交響組曲 宇宙戦艦ヤマト

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 アニメ音楽の交響組曲という初めての試みを非常な高レベルで実現した名盤。ついに単独リリース。

宇宙戦艦ヤマト BGM集

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 TVシリーズ第1作のBGM音源を収録。

SPACE CRUSER YAMATO

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 英語版・宇宙戦艦ヤマトを堪能出来るドラマ作品。初CD化。

宮川泰の世界~宇宙戦艦ヤマト

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 コンサートライヴ盤。初CD化。
・オープニング(スーパースター)/ピアノ:宮川泰、服部克久
・交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」から ※ピアノ:羽田健太郎
 1)序曲 2)誕生 3)真赤なスカーフ 4)明日への希望
・ロッキーのテーマ/ピアノ:羽田健太郎
・宮川泰ヒットメドレー
 1)ウナセラディ東京 2)銀色の道 3)愛のフィナーレ
・シバの女王 ・駅馬車 ・ひまわり
・マーチ・メドレー ・ピアノ・ソナタ
・フィナーレ(スーパースター)
 演奏:高橋達也と東京ユニオン、新室内楽協会

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リジェクトスコア 11

 2000年代の有名作品その3。

チーム★アメリカ/ワールドポリス(2004)
 /マーク・シェイマン→ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

 過激なTVアニメシリーズ『サウスパーク』のスタッフが製作した『サンダーバード』っぽい人形劇。ただし、当然ながら過激。
 シェイマンは『サウスパーク無修正映画版』でトレイ・パーカー監督と組んでいたので引き続き担当することになった。監督とシェイマンはブラッカイマー風(つまりハンス・ジマー率いるRC風)のスコアを意識していた。大規模なオーケストラを使った録音は終わり、監督との共作による挿入歌2曲も作った(ちなみに、他の歌は監督による)。しかし、監督には出来上がったスコアを聞いている余裕はなかった。再編集と再構成と再撮影に忙殺されていたのだ。ようやくスコアを聴いた監督はふざけすぎで、音楽がべったりと張り付きすぎだと感じた。公開まですでに1ヶ月を切っており、スタジオは作曲家の変更を決める。ハリー・グレッグソン=ウィリアムズはまさにテンプトラックにしていたRCの関係者(在籍はしていない)でブラッカイマー作品を多く担当している。時間がないため、スティーヴ・ジャブロンスキーなどのRCの若手に助力を頼み、作業に入った。最終的に映画に使われたのは典型的なブラッカイマー映画的なアクションスコアと、若干のコメディスコア、それにシャイマンと監督の作った歌となった。奇妙なことに、スコアはRCのアクション用ストックミュージックそのまんまである。
 なお、サントラは急いで作ったあまり、音楽のクレジットにシャイマンの名前が残り、「プレス時には個々の曲のプロデューサーと作曲者のクレジットは確定しておりません」と但し書きが入り、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズの名前はどこにも入っていない。

コンスタンティン(2005)
 /ブライアン・タイラー、クラウス・バデルト

 アメコミ『ヘルブレイザー』をキアヌ・リーヴス主演で映画化。フランシス・ローレンス監督の初劇場作品。
 映画の仕事が初めてだった監督とタイラーはテンプトラックがつけられたフィルムを見て方向性を決めた。その時のテンプトラックとしてタイラーの『フレイルティー/妄執』も使われていたという。ダークな音楽と言うことで一致したため、タイラーはスコアを書き上げ、録音を終える。実際に映像と合わせた段階で、もう少しユーモアを付け加えた方がいいとなり、スタジオはバデルトに追加音楽の依頼をする。タイラーは変更を嫌がらず、それどころかバデルトと共に変更分の音楽について話し合い、仕事を進めていった。というわけで、共作という形式になったが、こういうパターンは珍しい。

イーオン・フラックス(2005)
 /セオドア・シャピロ→ラインホルト・ハイル&ジョニー・クリメック→グレアム・レヴェル

 韓国・アメリカ合作のSFアニメをカリン・クサマ監督、シャーリーズ・セロン主演で実写化。
 元のアニメ版の作曲家は選択されず、まずシャピロに依頼された。しかし、(レヴェルが言うには)感傷的すぎるという理由でリジェクト。代わりに『ラン・ローラ・ラン』などのドイツ出身のふたり組が選ばれた。これもリジェクト。最後にレヴェルが選ばれた。すでに時間に余裕がなかったが、短期間での仕事に慣れていたレヴェルには2週間あれば充分だった。

キング・コング(2005)
 /ハワード・ショア→ジェイムズ・ニュートン=ハワード

 ピーター・ジャクソンが『ロード・オブ・ザ・リング』の大ヒットで、子供の頃からの夢だった名作のリメイクに挑んだ大作。最近では最も有名なリジェクト事例だろう。
 監督は『ロード・オブ・ザ・リング』に続いてショアに依頼し、ショアは途中まで録音を終えていた。しかし、監督との音楽的方向性の違いが明らかになってくると、これ以上、友情に亀裂が入らないうちに友好的に降板することになった。この時の音楽の一部が公式サイトのビデオダイアリーで録音風景として公開されていたが、ショアの降板と共に削除されてしまった(下のビデオ)。その後のJNハワードのスコアを考えると、もっとダークでパーカッションが入る『ロード・オブ・ザ・リング』のオーク族のような感じになっていたのではないだろうか。
 なお、ショアは劇中、ニューヨークでのコングお披露目のシーンで指揮者として出演している。

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(2008)
 /ランディ・エデルマン、ジョン・デブニー

 ブレンダン・フレイザー主演の冒険活劇第3弾。これまでの監督スティーヴン・ソマーズは製作に回り、代わってロブ・コーエンが監督になった。
 監督はそれまで何度かコンビを組んでいたエデルマンに依頼し、彼はこれまでで最も規模の大きなアクションスコアを書き上げた。しかし、ポストプロダクションの間にアクションシーンが幾つか変更され、特殊効果も付け加えられた。エデルマンのスコアはシーンにぴったり合わせてフィルムスコアリングしていたため、音楽を作り直す必要が生じた。しかし、その時エデルマンは病に伏せっており、代わりに前作のスピンオフ作品『スコーピオン・キング』で起用したデブニーが選ばれた。最終的にエデルマンが60分、デブニーが30分という構成になっている。しかし、デブニーのスコアは効果音にかき消されてほとんど聞こえない。必要なかったんじゃないかと皮肉混じりに"TORN MUSIC"には書かれている。
 サントラはエデルマンのスコアのみなので、映画には使われなかったスコアも収録されている。

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2012年6月22日 (金)

ミクロス・ローザ2作品

Timelovedie愛する時と死する時(1958)
A TIME TO LOVE AND A TIME TO DIE
炎の人ゴッホ(1956)
LUST FOR LIFE

■SAE
■@TOWER

 カナダのDisques CinéMusiqueレーベルからミクロス・ローザの作品カップリング。前者はLPのCD化。後者はVARESE SARABANDEなどでCD化されていた再録音の組曲。サントラ音源はFSMからリリース済み。

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2012年6月20日 (水)

BUY SOUNDTRAXの新譜2012/06/20

Assault_dark_starジョン・カーペンターの 要塞警察(1976)
ASSAULT ON PRECINCT 13
ダーク・スター(1974)
DARK STAR

■BSX
■@TOWER

 ジョン・カーペンター監督の初期2作品のカップリング。しかし、サントラではなく、音楽的パートナーでもあるアラン・ハワースによる再演奏版。前者のサントラは24分だったが、今回は36分収録。後者は音楽・セリフ・SEが50分収録されていたので、24分の音楽だけは初めてになる。
 限定1500枚

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リジェクトスコア 10

 2000年代の有名作品その2。

ギャング・オブ・ニューヨーク(2002)
 /エルマー・バーンスティーン→ハワード・ショア

 マーティン・スコセッシ監督が25年以上も前から企画していた映画。ニューヨークのふたつの移民グループの抗争を描く。
 バーンスティーンとは『ケープ・フィアー』で組んでいたスコセッシだが、本作については最適のアプローチについて完全に同意できないまま製作が進んでしまった。映画は予算オーバーし、3時間の長尺になり、公開は1年延びた。その間に2時間40分に編集され、音楽も変更されることになった。各国のフォークソングやU2、ピーター・ガブリエルなどと共に、ハワード・ショアのオリジナル組曲"THE BROOKLYN HEIGHTS"が使用されている。スコセッシは本作以降ショアを起用し続けている(厳密には1985年の『アフター・アワーズ』で一度組んでいる)。
 バーンスティーンのスコアはVARESE SARABANDEがリリースした彼のリジェクトスコア集の中に収録されている。

ハルク(2003)
 /マイケル・ダナ→ダニー・エルフマン

 マーベルコミックスのスーパーヒーロー、ハルクの映画化。アン・リー監督版であって、『アベンジャーズ』につながる『インクレディブル・ハルク』ではない。主演はエリック・バナ、ジェニファー・コネリー。
 ダナは太鼓やアフリカンパーカッション、中東のヴォーカルなどエスニックな要素を多く取り入れたスコアを考えていた。しかし、製作者たちは製作の進む映画を観て、こけるのではないかと不安に駆られていた。そこで、音楽をわかりやすくするという選択をする。エルフマンはヒーロー物には安心のブランドである。エルフマンは女性ヴォーカルとドゥドゥクを加えたスコアを書くことにした。そして、ダナのスコアはまだ録音されていなかったが、用意されていたエスニック楽器を使用し、さらに"MOTHER"のテーマでダナの作曲したモチーフを使用し、クレジットを入れた。

ワイルド・レンジ 最後の銃撃(2003)
 /ベイジル・ポルデュリス→マイケル・ケイメン

 ケヴィン・コスナー監督・主演の西部劇。西部開拓時代の最後の時代を描く。
 コスナーは『ダンス・ウィズ・ウルブズ』で起用したかったが断念したポルデュリスを選んだ。彼の『ロンサム・ダブ』に感銘を受けていたからだ。ポルデュリスは幾つかのテーマを作曲したが、コスナーは満足せず、結局、すべての作曲を終える前に降板させ、ケイメンを選択した。ケイメンはすべて仕上げた後、この年の11月に亡くなっており、本作は完成作品としては遺作となった(この後、作曲途中で亡くなり、関係者が仕上げた"BACK TO GAYA"がある)。

アイ,ロボット(2004)
 /トレヴァー・ジョーンズ→マルコ・ベルトラミ

 アイザック・アジモフの『我はロボット』をなんというか自由自在にいじりまくったSFアクション。監督はアレックス・プロヤス。
 プロヤスとジョーンズは『ダークシティ』でも組んでおり、今回もそのつもりでディスカッションをし、ジョーンズは幾つかのアイディアを書いている。しかし、スケジュールが許さなかった。実際の作曲が始まる頃にはジョーンズは『80デイズ』の仕事をしていたのだ。代わりに選ばれたのはベルトラミとなった。その後、『ノウイング』でも組んでいる。

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2012年6月19日 (火)

禁じられた遊び

禁じられた遊び

■AMAZON
■AMAZON MP3
■@TOWER

2012/06/25発売
 フランスMILANレーベルがリリースするルネ・クレマン監督の名画60周年記念盤。メインテーマの変奏曲の他、ルネ・クレマン監督作品のテーマ曲(鉄路の闘い、海の牙、パリは燃えているか、生きる歓びなど)を集めた作品集となっている。MP3で試聴できるので、内容は確かめてください。

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2012年6月17日 (日)

リジェクトスコア 9

 2000年代の有名作品その1。

トゥームレイダー(2001)
 /グレッグ・ホール・ジョーンズ→マイケル・ケイメン→グレアム・レヴェル

 ビデオゲームシリーズの映画化。サイモン・ウェスト監督、アンジェリーナ・ジョリー主演のアクション作。
 大量のロックが挿入されることがわかっていたため、監督はスコアとロックのバランスが取れる作曲家を探し、ジョーンズを起用した。MTVロゴなどを作曲し、『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』でアカペラのアレンジを任せた経験を買ったのだ。ジョーンズはロシア民謡やパーカッションを使った45分のスコアを書き上げた。しかし、その間に製作総指揮のスチュアート・ベアードはほぼ実績のないジョーンズではなく、ケイメンの起用を決めていた。ケイメンは幾つかデモを作ったが反応がない。さらに数曲作ったところ、否定的な反応が返ってきた。過去の苦い経験は繰り返したくないと、ケイメンはその段階で降板する。代わって起用されたのがレヴェルだった。公開が迫っており、早く仕上げる必要があったため、レヴェルは10日間でLAで書き、同時にロンドンで録音して、ネットでデータを送ってもらい、LAでミキシングをするという態勢になった。発売日の迫るサントラの作業も同時に行わなければならなかったため作業は混乱し、サントラは編集ミス、ミキシングミス、曲名のスペルミスなど多くのミスが生じ、レヴェルは公式に謝罪している。
 ちなみに2003年の続編でもリジェクトが起こった。初期ではクレイグ・アームストロングが45分のスコアを書いているが、アラン・シルヴェストリに代わっている。アームストロングのスコアは1個所だけ、ラボのシーンで使われている。

エネミー・ライン(2001)
 /ポール・ハスリンガー→ドン・デイヴィス

 ジョン・ムーア監督、オーウェン・ウィルソン、ジム・ハックマン主演のアクション。敵地の真っ直中に不時着したパイロットが国境まで必死の逃亡を図る。
 初期のヴァージョンでは内線で分断されたボスニアが舞台だけに映画はもっとダークで、シリアスなものだった。ハスリンガーはシンセとオケでダークな雰囲気を表現し、東欧の雰囲気を出すためにデュデュクなど民族楽器も導入した。しかし、その間に製作者はもっとアクションを入れたものに再編集しており、墓場や戦士の死などのイメージをカット(ディレクターズ・カットでは多くが復活)していた。おかげでダークなイメージはあわなくなり、音楽も差し替えられることに。デイヴィスはスタジオの要望どおり、もっとアクション映画っぽいスコアを書き上げた。
 どちらのスコアも正規リリースされていない。デイヴィスのスコアはアカデミープロモとしてのみ存在している。

テキサス・レンジャーズ(2001)
 /マルコ・ベルトラミ→トレヴァー・ラビン

 スティーヴ・マイナー監督の西部劇。南北戦争後、若者たちが西部の治安を守るためにレンジャー部隊を結成する。
 ベルトラミは伝統的な西部劇スコアと現代的なオーケストレイションの融合を目指し、ハーモニカとトランペットソロ、部分的に"DIES IRAE"を引用した。しかし、テスト試写でターゲットである若者層から音楽が古くさいという感想を持たれ、製作者は音楽の差し替えを決める。若者層に受けるロックテイストのスコアを負かされたのはラビン。しかし、結局、映画は興行的に失敗してしまう。不人気の西部劇、しかも『ヤングガン』のような若手スターも不在の映画を若者に見せようとして失敗するのは当たり前である。
 どちらのスコアも正規リリースされていないが、ベルトラミのスコアは充分に現代的で聴き応えがある。ただ、メインテーマがわかりやすすぎて安っぽく感じられるかも。ラビンのスコアは『タイタンズを忘れない』などに通じるテイスト。両方あわせたアルバムが出ればおもしろいと思うが、映画自体の評価が悪いから無理だろうな。

ボーン・アイデンティティー(2002)
 /カーター・バーウェル→ジョン・パウエル

 ロバート・ラドラムの小説『暗殺者』を映画化。ダグ・リーマン監督、マット・デイモン主演。記憶をなくした男が自分の正体を探り始めると組織に命を狙われる。
 バーウェルは監督と音楽的な意思の疎通がほとんどない状態で作曲に入った。シンセをメインにしたパーカッシヴなスコアを作曲し、デモを作り、1/3ほど録音を終えたところで、自宅のあるニューヨークに一時戻る。その時、911のテロが起こった。ハリウッドにも影響は及び、映画の製作が止まったり、修正を余儀なくされたりする。本作も半年間公開が延びることになった。バーウェルは残りの録音を終える必要があったが、自宅の妻が離れないで欲しいと懇願したため、断念する。代わりに起用されたパウエルはバーウェルと同じアプローチをすることになった。そして、トリロジーすべてを担当することになる。

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2012年6月14日 (木)

リジェクトスコア 8

 90年代の有名作品その2。

Last_man_standingラストマン・スタンディング(1996)
 /エルマー・バーンスティーン→ライ・クーダー

 ウォルター・ヒル監督、ブルース・ウィリス主演で、黒澤明の『用心棒』を1930年代のアメリカを舞台にしてギャング映画として仕上げた。
 バーンスティーンは久しぶりに西部劇スコアが書けると張り切った。最初と最後に主人公のモチーフを配置し、パーカッションを効かしたワイルドなアクションスコアを書き上げた。スタジオ側は気に入ったが、ヒルは伝統的すぎ、オールドファッションすぎると感じ、もっと違うものを求め、クーダーに変更した。クーダーのスコアはギターやパーカッション、シンセによるブルーズのフレーヴァーを加えたものになっている。
 バーンスティーンのスコアはVARESE SARABANDEからリリースされている。

ローズウッド(1996)
 /ウィントン・マルサリス→ジョン・ウィリアムズ

 ジョン・シングルトン監督による黒人差別事件の実話の映画化。題材のせいもあって日本では劇場未公開。1932年、アメリカの小さな町ローズウッドで些細なきっかけから白人住人が黒人住人を殺害、リンチ、放火し、町は消滅した。しかし、この事件は80年代になるまでメディアには出なかった。ジョン・ヴォイトが黒人を逃がす白人役をしている。
 シングルトンは同じく黒人のトランペッター、マルサリスに依頼。マルサリスは時代背景に相応しいオールドスタイルのジャズにブルーズとフォークミュージックを加えたスコアを書き、自身でも演奏した。しかし、シングルトンはそのスコアに満足しなかった。そこでウィリアムズに依頼する。ウィリアムズは60年代にゴスペルシンガーのアレンジ・オーケストレイションをやっていたのである。ウィリアムズのスコアはゴスペル、ギター、フィドル、ハーモニカ、口琴などを使った独特なスコアになり、その後、『アミスタッド』につながっていく。
 シングルトンはマルサリスのスコアの権利を自由にし(通常ボツスコアの権利はスタジオが保有)、マルサリスはそのスコアを元にアルバムREELTIMEとしてリリースした。

Breakdownブレーキダウン(1997)
 /ベイジル・ポルデュリス、リチャード・マーヴィン

『U-571』のジョナサン・モストウ監督、カート・ラッセル主演の「田舎に行ったら怖い目にあった」パターンのサスペンス。
 LA-LA LANDからすべてのスコアを収録したサントラがリリースされているので、詳細はそちらを参照→ブログ
 で、TORN MUSICによれば、若干順番が違っていて、友人のマーヴィン→プロデューサーのラウレンティスがポルデュリス推し→ポルデュリス1→ポルデュリス2→さらにクライマックスのスコア修正→ポルデュリスは別の仕事→マーヴィン→ポルデュリス2を中心にスコアを選択、という流れだったようだ。

モンタナの風に抱かれて(1998)
 /ジョン・バリー→トーマス・ニューマン

 ニコラス・エヴァンスのベストセラー小説をロバート・レッドフォード監督・主演で映画化。心に傷を負った馬と盲目の少女の交流。それを巡る人々のドラマ。
 バリーのスコアは自然の描写や馬に乗って走る感覚は素晴らしかったが、内面のダークな部分が物足りなかった。監督は別の音楽的アプローチを望んだ。しかし、この時期のバリーは頑固で、自らの音楽的アプローチを変えなかった。同じ年の『マーキュリー・ライジング』でも主張を変えなかったため、アクションシーンの大部分はカーター・バーウェルが追加曲を書き下ろしている。結局、監督はテンプトラックとして使っていた『ショーシャンクの空に』のニューマンに依頼した。
 バリーのスコアは彼のオリジナルアルバムBEYONDNESS OF THINGSに使われていると言われている。

アベンジャーズ(1998)
 /マイケル・ケイメン→ジョエル・マクニーリー

 アメコミではなくてイギリスのTVシリーズ『おしゃれ探偵』の映画化。ジェレマイア・チェチック監督、レイフ・ファインズ、ユマ・サーマン、ショーン・コネリーなど有名俳優をそろえたが歴史的な失敗作となった。
 ケイメンはTVシリーズのローリー・ジョンソンによるメインテーマを今風にアレンジして録音したが、劇中にあまり繰り返し使うのを嫌がった。未完成のフィルムに未完成のスコアを当てはめたテスト試写で否定的な反応があったため、製作者たちは慌てて再編集し、2時間の映画を90分にし、スコアを入れ替えることにした。そのため、ケイメンはカーネギーホールでのコンサートをすべてキャンセルし、作曲し直すことになった。しかし、それも受け入れられず、『リーサル・ウェポン4』のスケジュールがあるためについにケイメンは降板。代わりに製作者ジェリー・ワイントローブが以前『ソルジャー』で起用したマクニーリーが選ばれた。映画は散々だったが、マクニーリーのスコアは好評価を得ている。

奇蹟の輝き(1998)
 /エンニオ・モリコーネ→マイケル・ケイメン

『エイリアン3』の原案などのヴィンセント・ウォード監督、リチャード・マシスン原作の映画化。ロビン・ウィリアムズ主演で事故死した主人公が自殺した妻を救うため天国から地獄へと旅をする。
 モリコーネはお馴染みのエッダ・デルオルソの女性ヴォーカルを入れた宗教的なスコアを書く。しかし、その間、映画は変化し続けていた。重要なシーンはスコアとあわなくなり、宗教的すぎて製作者たちはリジェクトを決める。モリコーネはショックを受け、LAでのセミナーでは「製作者たちは自分に二度目のチャンスを与えるべきだった」とぶちまけた。
 ケイメンはかつての自分のバンドNEW YORK ROCK& ROLL EMSENBLEでマーク・スノウと共作した曲"BESIDE YOU"のメロディを使うことにした。彼の妻が映画を観て提案したという。

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2012年6月12日 (火)

LA-LA LANDの新譜2012/06/20

 LA-LA LANDの限定盤サントラ。直販での受付は6月20日午前5時から。

追記:LA-LA LANDのMV GERHARDにもうすぐ息子が生まれそうなので、発売日を1週間遅らせて、27日午前5時からに変更しますとのこと。

 今回は前回に続いてジェリーウィーク!

Stagecoach駅馬車(1965)
STAGECOACH

■LA-LA LAND
■@TOWER

 1939年の『駅馬車』をゴードン・ダグラス監督がリメイクした。
 音楽はジェリー・ゴールドスミス。FSMからリリースされていたが、失われたバンジョーなどの別取り音源が追加修正され、5曲8分のボーナストラックが増え、リマスター。FSM版に収録されていた"THE LONER"からのスコア3曲も収録。
 限定2000枚

Rioloboリオ・ロボ(1970)
RIO LOBO

■LA-LA LAND
■@TOWER

 ハワード・ホークス監督(遺作)、ジョン・ウェイン主演の西部劇。
 音楽はジェリー・ゴールドスミス。PROMETHEUSからリリースされていたが、モノラルとステレオ混在で43分だった。今回はモノラルでシーン順でスコアをまとめ、映画のために録音されたソースミュージックと別ヴァージョンを加え、ステレオ音源5曲を最後にまとめて78分収録。
 限定3000枚 

 なお、次回は休みで、次々回は7月20日発売となる。コミコンにあわせて毎年大物が出るが、今年はどうだ?

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エクストロ

Xtroエクストロ(1983)
XTRO

Xtro (Original Soundtrack Recording) - Harry Bromley Davenport
■BSX

 ハリー・ブロムリー・ダヴェンポート監督・原案・音楽を担当したカルトSFホラー。宇宙人に誘拐された父が戻ってきたが、すでに怪物と化していた。息子と一緒にぐちょぐちょどろどろとやりたい放題して宇宙に戻っていく。
 サントラは公開当時LPが出ていたが、CD化はされていなかった。TERレーベルのサブレーベルJAY RECORDSから『勝利への旅立ち』や『ニムの秘密』、『狼の血族』などと一緒にダウンロード販売されていた。
 が、レーベルサイトではダウンロードのみと表記されているのだが、BSXのサイトでCD-Rが販売されている。怪しいなぁ。

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INTRADAの新譜2012/06/12

2days2 days トゥー・デイズ(1996)
2 DAYS IN THE VALLEY

■INTRADA
■@TOWER

『コブラ』に出演していたジョン・ハーツフェルド監督による群像劇風のクライムサスペンス。ふたりの殺し屋が標的を始末したことで、無関係なはずの様々な人物を巻き込んでいく。ジェームズ・スペイダー、ダニー・アイエロ、チャーリーズ・セロンなど出演。
 音楽はアンソニー・マリネリなのだが、これはリジェクトされたジェリー・ゴールドスミスのスコア。もちろん初リリース。

Dragonworldドラゴン・ワールド(1994)
DRAGONWORLD

■INTRADA
■@TOWER

 チャールズ・バンド製作・原案のファミリー向けファンタジー。両親を亡くしてスコットランドの祖父に引き取られた少年は、ドラゴンの子供と出会う。事業家がそれを知り、ドラゴンワールドというテーマパーク建設を目論むが……。ドラゴンは実物大と、デイヴィッド・アレンとジム・ダンフォースによるモデルアニメーション。
 音楽はリチャード・バンド。ケルト色たっぷりのオケスコア。初サントラ化。

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FSMの新譜2012/06/12

 FSMの最後のリリースまで残り4枚。

Condorコンドル(1975)
THREE DAYS OF THE CONDOR
エディ・コイルの友人たち(1973)
THE FRIENDS OF EDDIE COYLE

■SAE
■@TOWER

 シドニー・ポラック監督、ロバート・レッドフォード主演のサスペンスと、ピーター・イェーツ監督、ロバート・ミッチャム主演尾のフィルム・ノワール。
 音楽はどちらもデイヴ・グルーシン。前者は既発盤に加えて8曲15分を追加。後者は初サントラ化。
 限定なし。

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2012年6月11日 (月)

ジョン・カーター

ジョン・カーター

■AMAZON→3Dスーパー・セット(3枚組/デジタルコピー & e-move付き)
■AMAZON→ BD(2枚組/デジタルコピー & e-move付き)
■AMAZON→DVD+BD

2012/08/22発売
 アメリカから遅れること2ヶ月でソフト発売。ジャケットが3Dと他ので異なっている。

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KRITZERLANDの新譜2012/06/11

Allnightswork凡ては夜に始まる(1960)
ALL IN A NIGHT'S WORK

■KRITZERLAND
■@TOWER

 シャーリー・マクレーン、ディーン・マーティン主演のドタバタコメディ。
 音楽はアンドレ・プレヴィン。初サントラ化。パラマウントの倉庫で発見されたセッションマスターテープから。2曲のみモノラル。
 限定1000枚

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リジェクトスコア 7

 今回は90年代の有名作品その1。

Whitefang_2ホワイト・ファング(1991)
 /ベイジル・ポルデュリス、ハンス・ジマー

 アラスカの金鉱を目指して旅する少年と狼の血が入った犬の物語。ディズニー映画。
 ランダル・クライザー監督は『青い珊瑚礁』でも組んだUSCからの盟友ポルデュリスに音楽を依頼した。ポルデュリスは物語に沿って前半をエスキモーのチャントなどを入れた静かなスコアにし、後半をアドヴェンチャースコアにしようとして、順に作曲・録音していった。しかし、前半を観たディズニーのジェフリー・カッツェンバーグ(現在はドリームワークス)は全部がこうなるのかと不安になり、ジマーに依頼する。ジマーはシャーリー・ウォーカー(オーケストレイションと指揮で当時よく組んでいた)とフィアクラ・トレンチ(ジマーの師匠スタンリー・メイヤーの協力者)と共にスコアを書き始める。一方、ポルデュリスも後半に取りかかっていた。最終的にふたつのスコアを提示されたクレイザーは丸く収めるつもりだったのか、いいとこ取りをすることに。結果、8割がポルデュリス、14%がジマー、3.6%がトレンチ、1.2%がウォーカーという割合に。
 INTRADAからどちらのスコアも収録したサントラがリリースされたので、そちらの詳細は記事を参照→ブログ

心の旅(1991)
 /ジョルジュ・ドルリュー→ハンス・ジマー

 マイク・ニコルズ監督、ハリソン・フォード、アネット・ベニング主演のドラマ。仕事一徹のエリート弁護士が記憶を失い、再生するまでを描く。
 ニコルズとドルリューは『イルカの日』などで3回組んでいる。ドルリューはこの物語の悲劇的な側面にウェイトを置き、悲しげなヴァイオリンソロをメインにスコアを組み立てた。しかし、スタジオはこのアプローチに満足せず、コメディとドラマのバランスを取った現代的なスコアを求め、ジマーに依頼した。
 ドルリューのスコアは先に書いたように『何かが道をやって来る』とのカップリングでフランス・ユニバーサルからリリースされた。

K2/ハロルドとテイラー(191)
 /ハンス・ジマー→チャズ・ジャンケル

 K2に挑む二人組を描いた登山ドラマ。マイケル・ビーン主演、藤岡弘、も出演。
 これはかなり複雑な国別の違い。監督は最初ピーター・ガブリエルに依頼したかったが、果たせず、友人であるイギリスのバンドTHE BLOCKHEADSのメンバーだったジャンケルに依頼。ジャンケルがすべて終えて数ヶ月後、ジャンケルの元に映画が再編集になり、プロデューサーが音楽が嫌いなので変えると連絡が入った。そこで入れられたのがジマーの音楽。しかし、さらに数ヶ月後、プロデューサーがジマーの音楽も気にくわないということになり……結局、スケジュールの関係で欧州ではジマーのスコアが使われ、アメリカのビデオ発売ではジャンケルのスコアが大半(ジマーが少し入った)という状態になった。
 サントラはVARESE SARABANDEからジマー版のみリリースされている。ジャケットが2種類あり、ジャンプしている人物写真版が先に出て、後からこちらのマシュー・ピークのイラスト版が出た。しかし、このスコアはアメリカのビデオには使われていないことになる。

リバー・ランズ・スルー・イット(1992)
 /エルマー・バーンスティーン→マーク・アイシャム

 ロバート・レッドフォード監督、ブラッド・ピット出演のドラマ。フライ・フィッシングでつながる兄弟を描く。
 レッドフォードはバーンスティーンを起用したが、二人の間にはこの映画に対する考え方の違いがあった。バーンスティーンは極めて詩的な作品で、アメリカーナのようなリリカルな音楽が必要だと考えたが、監督はもっと現実的な物語だと考えていた。そこでアイシャムを起用し、テンプトラックを使って要望を伝えた。アイシャムはその中から最終的にケルト的なものが必要だと判断し、数曲のケルティックなテーマを作り、その中のひとつをメインテーマとした。アイシャムのスコアはアカデミー作曲賞にノミネートされている。

アサシン(1993)
 /ゲイリー・チャン→ハンス・ジマー

 リュック・ベッソン監督の『ニキータ』のアメリカ版リメイク。ジョン・バダム監督、ブリジット・フォンダ主演。
 監督は既製曲と、ニナ・シモンズのジャズナンバーと影響し合うスコアを意図して、『バード・オン・ワイアー』で組んだジマーを起用したいと思っていた。しかし、スケジュールがバッティングし、スタジオが『沈黙の戦艦』を担当したゲイリー・チャンを起用する。チャンは数週間かけて全体のシンセデモを作り、数曲をオケで録音していた。しかし、スタジオはそのスコアのメロディが不満で、しかも、シモーネの歌とフィットしないと判断した。その時にはジマーは少し時間が取れるようになっており、スタジオはジマーにテーマを幾つか書いてもらい、それを元にチャンにスコアを書いてもらうことにする。しかし、チャンはそれを拒む。結局、ジマーがすべてやることに。
 なお、同じ年にチャンが担当した『山猫は眠らない』は完成後にヴァイオレンスシーンがカットされ、そのためにジマーとマーク・マンシーナが変更した部分を担当することになった。

インタビュー・ウィズ・バンパイア(1994)
 /ジョージ・フェントン→エリオット・ゴールデンサール

 アン・ライスの原作をニール・ジョーダン監督、トム・クルーズ主演で映画化。
 監督は『狼の血族』などで組んだフェントンに依頼した。フェントンのスコアはダークでヴァンパイアの悲劇性を表現しており、さらにヘンデルやハイドンなどのクラシック曲も使用したものだった。しかし、プロデューサーはスローすぎて物足りないと感じ、ゴールデンサールに依頼した。その頃、フェントンはまだ録音を続けており、同じスタジオで午前はフェントン、午後はゴールデンサールと、ほとんど同時に録音することもあった。ゴールデンサールのスコアはバロックからロックまでを混ぜたようなスタイルで、アカデミー作曲賞にもノミネートされ、監督とはその後も組むことになる。
 フェントンのスコアはその後、組曲"THE VAMPIRE"として編曲され、ロイヤル・フィルで演奏されている。これが海賊盤の音源のようだ。PART 1PART 2

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2012年6月 8日 (金)

リジェクトスコア 6

 80年代の有名作品その2。

Goldenchildゴールデン・チャイルド(1986)
 /ジョン・バリー→ミシェル・コロンビエ

 エディ・マーフィー主演のオカルトアクション。
 これは製作現場が混乱したために音楽がとばっちりを受けてしまった例といえる。
 LA-LA LANDからどちらのスコアも収録したサントラがリリースされたので、詳細についてはそちらの記事を参照→ブログ


プラトーン(1986)
 /ジョルジュ・ドルリュー→サミュエル・バーバー

 オリバー・ストーン監督のベトナム戦争物。
 これはテンプトラックとして使われたクラシック作品に監督が固執した例。ドルリューはスコア7曲を書いたが、ストーンはバーバーの"Adagio For Strings"に出来るだけ近づけろと要求し、結果的にそのまま使用することを選択した。しかも、ドルリューの指揮での録音。映画に使用されたドルリューのスコアは1曲のみだった。
 サントラにはバーバーの他は当時のロックなどが収録されただけ。後にストーン/ドルリューの『サルバドール』とのカップリングで、7曲のスコアすべて収録したサントラがPROMETHEUSからリリースされた。

Prayerfordying死にゆく者への祈り(1987)
 /ジョン・スコット→ビル・コンティ

 ジャック・ヒギンズの原作をマイク・ホッジス監督がミッキー・ローク主演で映画化。殺しを見られたIRAのテロリストが神父に懺悔して秘密を封印するが……。
 1971年の『アントニーとクレオパトラ』でスペインの作曲家アウグスト・アルグエロJr.を製作のピーター・スネルが起用したが、主演のチャールトン・ヘストンがそのスコアを気に入らず、ジョン・スコットが起用された。スコットとスネルは良好な関係を続け、スネルは本作の音楽もスコットを起用。小編成のストリングスにパーカッションとロックテイストのギターを加えるという非常に現代的なもので、IRAを意識したアイリッシュ色はハープの使用のみだった。さらにはエンドクレジット用に歌も製作する。こうして順調に進んだスコアだが、イギリス・アメリカの製作者がいたことが問題となった。ハリウッド側の製作サミュエル・ゴールドウィンJr.はアクションをもっと入れようと、編集を何度もやり直した。そして、音楽もハリウッド的にしようと、コンティに差し替える。フィドルなどアイリッシュ色を多く取り入れ、オーケストラとシンセを組み合わせたスコアとなった。しかし、批評ではアイリッシュ色がチープすぎると批判される結果となっている。
 この残念な結果にもかかわらず、スネルとスコットの関係はその後も良好に続き、最新作"THE WICKER TREE"でも起用している。
 スコットのスコアは自身のレーベルJOSから『ウィンター・ピープル』とのカップリングでアルバムがリリースされている。『ウィンター・ピープル』はテッド・コッチェフ監督、カート・ラッセル、ケリー・マクギリス主演のドラマで、スコアも素晴らしいので、このアルバムはお薦め。コンティのスコアは正規リリースされていない。

2014年9月追記:コンティのスコアがQUARTETからリリースされた→ブログ記事

ヘルレイザー(1987)
 /COIL→クリストファー・ヤング

 クライヴ・バーカー原作・監督のホラー。ピンヘッドなどの異形のキャラが人気となりシリーズ化された。
 製作の初期段階ではデレク・ジャーマン監督の『エンジェリック・カンヴァセーション』を担当していたイギリスのバンドCOILと監督が綿密な打ち合わせをしていた。しかし、撮影済みのフッテージを見たハリウッドの製作者が10倍の予算をつけるという申し出にバーカーが応じ、音楽もCOILの「典型的なホラースコアではないスコア」ではなく、ホラーらしいスコアに変更せざるを得なくなった。ヤングのスコアはゴシック調でホラーファンからは熱狂的な支持を受ける。
 COILのスコアはその後、彼らのアルバムに収録され、現在ではUnnatural History IIに収録されている。

Bigblueグラン・ブルー(1988)
 /エリック・セラ→ビル・コンティ

 リュック・ベッソン監督の素潜り映画。
 これは国による事情がからんだ例。
 ヨーロッパでのヒットを受けて、アメリカ配給を考えた製作者ジェリー・ワイントローブだが、上映時間が長すぎたのでカットし、レイティングをPGにするためにヌードと暴力的なシーンをカットした。さらに、あのラストがアメリカでは受けないと判断し、再編集でハッピーエンドにし、音楽を差し替えることにした。そこで『ベストキッド』で起用したコンティを呼び、はっきりとしたメインテーマを要求した。
 皮肉なことにコンティのサントラは発売されず、アメリカでもサントラとして店頭に並んだのはセラのスコアで、これがよく売れた。

Accidentaltourist偶然の旅行者(1988)
 /ブルース・ブロートン→ジョン・ウィリアムズ

 ローレンス・カスダン監督がアン・タイラーのベストセラー小説を映画化した恋愛ドラマ。 
 カスダンはすでに『シルバラード』などで組んでいたブロートンにバッハの曲をアレンジして使いたいと持ちかけ、ブロートンは曲の選定をやり始めた。それは難航し、試しに何曲かバッハを録音しただけで、ふたりは創作上の相違で離れることになった。

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2012年6月 7日 (木)

ブラッドベリ死去

Christus Apollo

■AMAZON→SACD/CDハイブリッド
■AMAZON→CD

 SF作家レイ・ブラッドベリが現地時間6日朝、LAで死去しました。享年91歳。合掌。
 TVや映画との関わりも多く、サントラファンとしてはジェリー・ゴールドスミスが担当した『いれずみの男』、バーナード・ハーマンが担当した『華氏451』、ジェイムズ・ホーナーが担当した『何かが道をやって来る』が有名だろう。
 もうひとつ、ブラッドベリとジェリー・ゴールドスミスは共にLA在住で、『いれずみの男』の前からラジオやTVの仕事を通しての交流があった。ゴールドスミスは1969年にカリフォルニア・チャンバー・シンフォニーからカンタータを依頼された時、ブラッドベリにテキストを書いてもらい、CHRISTUS APOLLOを作曲している。このロンドン・シンフォニーの録音では、そのテキストをアンソニー・ホプキンスが朗読している。

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2012年6月 6日 (水)

BUY SOUNDTRAXの新譜2012/06/19

BsxjgTHE JERRY GOLDSMITH COLLECTION - VOLUME 1: RARITIES

■BSX
■@TOWER
The Jerry Goldsmith Collection - Volume One: Rarities - Various Artists

 BSXが再録音した音源や今回新たに録音した音源をまとめたもの。ジャッジ・ドレッドの予告編、五月の七日間
シェイマス、秘密殺人計画書などサントラが出ていないものが多い。個人的には感心しない録音ばかりなので、iTUNESで試聴するのがいいかと。
 CDは限定1500枚

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QUARTETの新譜2012/06/06

China_moonチャイナ・ムーン(1994)
CHINA MOON

■QUARTET
■@TOWER
 エド・ハリス、マデリン・ストー主演のエロティック・ミステリー。悪女に殺人の片棒を担がされた刑事の物語。
 音楽はジョージ・フェントン。初サントラ化。
 限定1000枚

Marcia_trionfaleMARCIA TRIONFALE(1976)

■QUARTET
■@TOWER

 イタリアの軍隊を舞台にしたエロティック・ミステリー。
 音楽はニコラ・ピオヴァーニ。LPのCD化。
 限定500枚

Pascal_gaigne_retrospectivePASCAL GAIGNE RETROSPECTIVE

■QUARTET
■@TOWER

 今年で作曲家20周年になるパスカル・ゲーニュを祝って、これまでレーベルからリリースされた作品からコンピレイション。

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2012年6月 5日 (火)

リジェクトスコア 5

 今回は80年代の有名作品その1。

フラッシュ・ゴードン(1980)
 /QUEEN&ポール・バックマスター→ハワード・ブレイク

 ディノ・デ・ラウレンティス製作によるスペオペの元祖の絢爛豪華な映画化。
 イギリスのロックバンドQUEENの起用を決めたラウレンティスだが、QUEENにはオーケストラスコアを書く能力がなかった。そこでQUEENの曲をモチーフにしてオーケストラアレンジするためにバックマスターが雇われる。しかし、ロイヤル・フィルのスケジュールを押さえたにもかかわらず、バックマスターはまだ1分しか仕上げていなかった。ラウレンティスはリドリー・スコットの映画監督デビュー作『デュエリスト/決闘者』を担当したブレイクと話をする。1週間以内に書いてくれというラウレンティスに、ブレイクは3週間か1ヶ月必要だと答える。すると、ラウレンティスは「もっと金を出す!」 それで3週間で書き上げることに。全体のスコアを書いたが、最終的には、QUEENの部分が35分、ブレイクのスコアが20分以下、QUEENのモチーフをブレイクがアレンジした部分が十数分となった。
 ブレイクのスコアはSUPERTRAXからプロモ盤として限定リリースされたが、すでに完売。ベストセラーとなったQUEENのアルバムは昨年、別ヴァージョンが追加されたデラックス・エディションが発売になっている。

ハンター(1980)
 /ミシェル・ルグラン→チャールズ・バーンスティーン

 実在の賞金稼ぎを描いたスティーヴ・マックイーンの遺作。
 バズ・キューリック監督はルグランにオペラティックなスコアを要求し、アクション映画らしからぬスタイルで完成させた。しかし、スタジオ側は現代的なシカゴの犯罪映画には相応しくないと考え、バーンスティーンに『フレンチ・コネクション』のようなモダンジャズスコアを書かせた。しかし、監督は簡単に妥協せず、アメリカ公開版ではアクションシーンをバーンスティーン、他をルグランで使い分けることにした。他の地域ではスタジオの意向を汲んだバーンスティーンで統一している。バーンスティーンのスコアは未発売だが、ルグランは『栄光のルマン』とのカップリングでサントラがリリースされた。

Clashtitansタイタンの戦い(1981)
 /ジョン・バリー→ローレンス・ローゼンタール

 リメイクもされたハリーハウゼンのダイナメーション最後の大作。
 ハリーハウゼンは『冬のライオン』のようなスコアを求めてバリーに依頼したが、上手くはまらなかった。そこでローゼンタールに依頼することに。思うに、バリーのスコアは真面目で外連味が足りなかったのではないか。
 ローゼンタールのスコアは現在、2枚組完全盤サントラがリリースされている。

Author喝采の陰で(1982)
 /ジョニー・マンデル→デイヴ・グルーシン

 アーサー・ヒラー監督による、原題の"AUTHOR,!AUTHOR!"からして『クレイマー、クレイマー』を意識しまくったアル・パチーノの父子物語。
 詳細不明だが、マンデルのスコアはシリアスタッチなので、そこで意見の相違があったのだろう。
 VARESE SARABANDEから限定盤がリリースされており、ここには使用されたグルーシンとボツになったマンデル、両方のスコアが収録されている。

20102010(1984)
 /トニー・バンクス→デイヴィッド・シャイア

『2001年宇宙の旅』の続編というよりも、アーサー・C・クラークの原作の映画化。
 だいたい、前作からしてキューブリックはアレックス・ノースに音楽を頼んでおきながら、テンプトラックとしてつけていたクラシック曲に似せるように要求し、結果的にそのテンプトラックをそのまま使うというリジェクトの代表例となっている。続編までこうなるとは。
 ピーター・ハイアムズ監督は『ザ・シャウト/さまよえる幻響』を見て、音楽を担当したプログレバンドGENESISのキーボーディスト、バンクスに依頼してきた。いくつか曲を作ってテープを渡したが、ハイアムズは納得しない。6ヶ月作業を続けたが、結局リジェクト。ハイアムズは休暇中だったシャイアにコンタクトし、シンセスコアを要求する。シャイアはクレイグ・ハクスリーと共同で作曲した。
 バンクスは自分が書き上げた曲を作り直して、ロンドン・フィルで録音している。"Seven: Suite for Orchestra"というアルバムのTHE GATEWAYという曲がそれである。

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ディヴァイド

ディヴァイド(2011)
THE DIVIDE

■AMAZON MP3

2012/06/03発売
『ヒットマン』のグザヴィエ・ジャン監督によるスリラー。マイケル・ビーン主演。都市で核が爆発し、高層ビルにいた男女数人が地下のシェルターに避難する。外部との連絡もできない密室状況で人々は次第に追い詰められていく。
 音楽はフランス人のジャン・ピエール・タイエブ。ビデオ化にあわせての発売。

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2012年6月 4日 (月)

特撮リボルテック第25弾+目玉おやじ

特撮リボルテック SERIES No.039 スパイダーマン

■AMAZON

2012/08/01発売
『スパイダーマン3』から。ビルにパースをつけたベース、クモ糸(ロング&ショート)×各1、オプションハンド×6、ネームプレートつき。


リボルテックタケヤ SERIES No.007 目玉おやじ

■AMAZON

2012/08/01発売
 鬼太郎に続いて目玉おやじ! ベース、目パーツ×2、手ぬぐい、オプションハンド×5、お茶碗(お湯パーツ付)がついてくる。


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2012年6月 3日 (日)

現代映画用語事典

現代映画用語事典

著:山下慧 、井上健一 、松崎健夫
刊:キネマ旬報社

■AMAZON

 映画史、映画ジャンル、撮影・編集技術、映画産業、映画理論など、映画に関連する様々な用語(人物名・作品名を除く)をコンパクトながら本格的に解説した最新事典。
 収録用語数約400。各用語についての解説のほか、重要な用語については2~3ページ分の長文で詳細に解説。
映画ファン、業界関係者、映画検定受験者は持っておきたい一冊。イラスト・図版あり。

 ということで、中身を見たら書き加えます。

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リジェクトスコア 4

 前回に続いてホーナーその2。

Nattyナティ物語(1985)
 /エルマー・バーンスティーン→ジェイムズ・ホーナー

 ディズニーのファミリー物。1935年のアメリカ、シカゴからワシントンまで父親を探して一人旅をする少女の苦難、初恋を描く。
 バーンスティーンは雄大な自然をイメージしたいかにもアメリカーナなスコアを書いたが、ディズニーはもっとキャラクターの冒険に焦点を絞ったスコアにするように要求。息子ピーターの手も借りて何度も書き直したが、結局リジェクトされてしまった。ホーナーはメインテーマは同じようなアメリカーナを書いたが、いつものアクション色も加えたスコアを書き、認められた。
 バーンスティーンのスコアはVARESE SARABANDEがリリースした彼のリジェクトスコア集の中に収録されており、ホーナーのスコアもINTRADAから単独でリリースされた。残念ながら、ホーナーの方は完売。

ヤング・ガン(1998)
 /ジェイムズ・ホーナー→アンソニー・マリネリ

 エミリオ・エステヴェス、キーファー・サザーランド、ルー・ダイアモンド・フィリップス、チャーリー・シーンがビリー・ザ・キッドと仲間たちを演じた青春西部劇。続編も製作された。
 クリストファー・ケイン監督とホーナーは『エメラルド・レジェンド/少年とイルカの愛の伝説』で組んでおり、2度目だった。ホーナーはINCANTATIONのメンバーやエスニック楽器を使ったアイリッシュテイストのスコアを書いたが、スタジオは伝統的な西部劇音楽でないことを不満に感じ、リジェクト。代わりにマリネリを起用。こちらもノイズやシンセを多用した西部劇っぽくないスコアだったが、若手人気男優たちの支持層には受けると判断された。
 どちらのスコアも正規ではリリースされていないが、ホーナーのスコアの一部分はエスニックミュージックグループ、INCANTATIONのアルバムCamera-Reflections on Film Musicに収録されている。このアルバムはINCANTATIONがこれまで参加した映画音楽(タイタニック、ブレイブハート、ミッションなど)から彼らの担当分が収録されている。

身代金(1996)
 /ハワード・ショア→ジェイムズ・ホーナー

 ロン・ハワード監督、メル・ギブソン主演のサスペンス。
 ショアは監督と良好な関係を築き、かなりのめり込んで仕事をしていた。通常より多いミュージシャンを使い、ダークでコンテンポラリーなスコアを録音した。が、理由はわからないがリジェクト。ショアが言うには、コンテンポラリーすぎたのかも。そして、監督は神経質になっているようだったと。恐らく、予想したよりも上手くはまらなかったのか、上からの命令というところだろう。代わりの作曲家は『コクーン』など何度も組んでいるホーナー。このスコアも実はダークでコンテンポラリーだったのだが、最大の違いはハッピーエンドに向かっていくのを期待させる雰囲気の有無だった。

トロイ(2004)
 /ガブリエル・ヤーレ→ジェイムズ・ホーナー

 ヴォルフガング・ペーターゼン監督によるトロイ戦争の映画化。
 ヤーレは1998年に『レ・ミゼラブル』を担当したが、結局リジェクトを食らっていた(ベイジル・ポルデュリスが担当)。そのため、同じような史劇の本作で自分の別の才能が示せると意欲的だった。監督とヤーレは充分な打ち合わせをして音楽を造り上げていったが、テスト試写で「音楽が高圧的すぎ、大時代的」と批判されたことで、監督は一転してリジェクトすることに。まず、ジョン・デブニーに打診したが、別の仕事の締切が迫っており断念。次にオファーしたのが『パーフェクト・ストーム』で組んだホーナーだった。受けたのはいいが、公開まで時間が迫っており、録音・編集などを考慮すると作曲にかけられる時間は9日。作曲するべきは3時間近いスコア。そこで、ヤーレが使った女声コーラスやソリスト、それにアイディアを使うことで時間をはぶくことにした。完成したスコアは時間がなかったわりには力作だった。
 ヤーレのスコアは仕打ちに憤慨したヤーレが自分のサイトで主立ったシーンのスコアを聴けるようにしたが、しばらくしてスタジオから公開禁止(リジェクトスコアでも所有権はスタジオにある)の命令を食らっている。確かに大時代的ではあるが、史劇なんだからこれでもいいのではないかとも思う。それくらいの気合いの入ったスコアだった。
 映画本編は30分長くなったディレクターズカット版DVDが発売されたが、尺が代わったために音楽も付け替えられ、ホーナーのスコアがカットされたりループさせられたりしただけでなく、テンプトラックとしてつけられていた他の映画音楽(スターシップ・トゥルーパーズ/ベイジル・ポルデュリス、猿の惑星/ダニー・エルフマン、モンテ・クリスト伯/エドワード・シェアマー)がそのまま使われ、さらにはヤーレのスコアも2個所で使われているという、複雑な代物になっている。

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2012年6月 1日 (金)

リジェクトスコア 3

 今回はジェイムズ・ホーナー関係その1を。

Wolfenウルフェン(1981)
 /クレイグ・セイファン→ジェイムズ・ホーナー

 ホイットリー・ストリーバー原作のホラーを映画化。当時立て続けに公開された狼男物『ハウリング』と『狼男アメリカン』とは違った特殊な狼の話。
 マイケル・ウェドリー監督がセイファンを起用したのだが、ウェドリーが一旦完成させた後、製作のロバート・ヒッツィグが再撮影し、さらにジョン・ハンコックが再編集したことで、セイファンのスコアは使えなくなった。ホーナーのスコアは当時の彼の寄せ集めのような感じ。
 どちらもプロモ盤として存在していたが、ホーナーのスコアはINTRADAから正規盤としてリリースされた(写真)。

Somethingwicked何かが道をやってくる(1983)
 /ジョルジュ・ドルリュー→ジェイムズ・ホーナー

 レイ・ブラッドベリの幻想小説をディズニーが映画化。
 ジャック・クレイトン監督は長年のコンビ、ドルリューに依頼し、ダークで非常に特徴的なスコアを書いた。監督は気に入ったが、ディズニー側はそうではなかった。テスト試写の結果が悪かったため、追加撮影と再編集が行われ、音楽もボツに。ディズニーはジェリー・ゴールドスミスに打診したが、他の仕事があって受けられず、ホーナーに。ディズニーの要求どおり、ファミリー向けの音ではありながら、ダークな雰囲気もあり、この時期のホーナーの中では素晴らしい出来。
 ホーナーのスコアは長らくリリースされなかったがINTRADAから限定盤(写真)が出た。しかし、すでに完売。ドルリューのスコアは同じくリジェクトになった『心の旅』とのカップリングでフランスユニバーサルから最近リリースされた。

追記:ドルリューのスコア完全版もリリースされた→■TOWER

ストリート・オブ・ファイヤー(1984)
 /ジェイムズ・ホーナー→ライ・クーダー

 マイケル・パレ、ダイアン・レイン、ウィレム・デフォーがそれぞれにはまり役だったロックンロールの寓話。
 ウォルター・ヒル監督の『48時間』に続いて起用されたホーナーは、同じようなパーカッションの利いたスコアを書いたが、メインとなるヒロインの歌などと相性が合わず、ボツになった(確かにダークな『48時間』という感じのスコアだった)。代わって起用されたのが、『ロング・ライダース』で監督と組んだライ・クーダー。しかし、実際のところ歌と歌の繋ぎ役というイメージしかなく、サントラ(写真)にも収録されていない。最も印象に残るのはMEATLOAFなどに楽曲を提供しているジム・ステインマンによる『今夜は青春"Tonight Is What It Means To Be Young"』だろう。余談だがステインマンというと、他に『シャドー』の主題歌"Original Sin"も素晴らしい。

追記:情報をいただいたのでクーダーのスコア"BOMBER RUSH"が含まれているアルバム"Music By Ry Cooder"はこちらMusic By Ry Cooder - ライ・クーダー

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