« DIGITMOVIESの新譜 | トップページ | LA-LA LANDの新譜2011/11/30 »

2011年11月24日 (木)

グレムリン

Gremlinsグレムリン(1984)
GREMLINS

■SAE
■@TOWER

 クリスマスも近くなってきたので、クリスマス映画の話でも……。

 え、これ?

 クリスマス映画ですよね、これ。

 今でもキャラグッズに人気があるグレムリン、ギズモのオリジナルはいうまでもなく本作だ。知らない人もいるんだろうなぁ。27年も前の映画なんだから。当時、大学二年。多分、ひとりで観たはず。SF研の会誌にレヴューを書いたのは覚えている。「スピルバーグのバンズで挟んだダンテのパティ」みたいな。でも、今になって考えてみると、バンズの方も結構なゲテ物好きで容赦ないんだよね。
 
 ジョー・ダンテ監督の初めてのメジャー製作映画なので、音楽もメジャーな作曲家ということなのか、『ピラニア』と『ハウリング』で組んでいたピノ・ドナジオからジェリー・ゴールドスミスになった。実際にはこの前年『トワイライトゾーン超次元の体験』の1エピソードで組んでおり、この時の経験、プロデューサーのスピルバーグが「ジョン・ウィリアムズがいなければゴールドスミスに自作も頼みたい」というほど評価すること、息子ジョエル・ゴールドスミスとは『ピラニア』の製作で一緒に仕事をしていたことなどで、このタッグは必然であったのだろう。これ以降、ゴールドスミスが亡くなるまで全8作で組むことになった。

 ダンテが『グレムリン』の音楽について初めて打ち合わせをした時、ゴールドスミスはいきなりメインのモチーフをピアノで弾いたという。当初の脚本では純粋なホラーだったものが、製作が進んだその頃にはコメディ色(かなりダークだが)が強まっており、ゴールドスミスはそれを的確に見抜いていたのだろう。それに対してダンテは「こんなホンキートンクみたいな音楽があうのか?」と懐疑的だったようだが、できあがったものを見て感動した。
 実はこのモチーフ、『トワイライトゾーン超次元の体験』の最後のエピソード(ジョージ・ミラー監督担当分。グレムリンが登場する)で使用したもの。こちらでは軋るような弦でホラーの王道スコアだったが、主人公のオーバーな慌てぶりなどコメディ要素も少しあった。それを大胆なアレンジで、もっとアナーキーな曲に仕立てたのが、『グレムリン』の音楽となった。

 それにしても、『グレムリン』の前にはコメディというと、『恋とペテンと青空と』と『青春がいっぱい』くらいしか担当作がないゴールドスミスがいきなりここまではっちゃけたスコアを書いたというのは凄いことだ。これで覚醒したのか、その後はコメディ要素の入った作品も複数手がけている。
 もっとも、『グレムリン』のスコアにはコメディだけでなく、ハートウォーミングな『E.T.』のようなギズモのテーマや、サスペンス、ホラー要素もたっぷり入っている。最も強烈なのは奇妙な音色が飛び出すこと。ネコのような音、シンセのノイズ……。これらの源流はワーナーのアニメ、ルーニーチューンズ――バックスバニーやロードランナーがドタバタを繰り返すナンセンスアニメだ(このサントラには劇中で使われた昔のルーニーチューンズのスコアが1曲収録されている)。ダンテがこれをこよなく愛しているのは周知の事実で、ゴールドスミスもこれを取り入れたのは想像に難くない。ふたりはこの後、『ルーニーチューンズ:バック・イン・アクション』という実写とルーニーチューンズのキャラの合成作品までコンビを組み、そして、ゴールドスミスはそれを遺作として亡くなった。そこでは非常にわかりにくいギャグでグレムリンのテーマが使われている。

 そして、ファンとしては忘れてはいけないのはゴールドスミス登場シーン。珍発明の展覧会で電話ブースにいる男が彼だ。そして、続編『グレムリン2新種誕生』では妻と一緒にセリフまでしゃべっている。裏方である作曲家のゴールドスミスが映画に登場したのはこの2作品だけ。よほどダンテ作品がお気に召したのだろう。来日時に「ダンテは変な音ばかり要求してくる」と楽しそうに答えていたのを今でも思い出す。

 今年のクリスマスはこのサントラを聴きながら、サンタの仮装をしたお父さんが煙突に詰まってしまう様子を想像しながら過ごすのはいかがだろうか? やっぱりダメ?

|

« DIGITMOVIESの新譜 | トップページ | LA-LA LANDの新譜2011/11/30 »

サントラ」カテゴリの記事

コメント

グレムリンに対してのレビュー、とても興味深くそして楽しく拝見しました。なんでしょう、読んでて 少し幸せな気分になれました。個人的にはクリスマスは大好きだったフィービー・ケイツを思い出せる日でもあります。余談ですがグレムリンの舞台の中心街はBTTFでも使われたユニバーサルの(オープン)セットですよね?

投稿: TOM | 2011年11月24日 (木) 23:26

>TOMさん
そうです。なぜかワーナー映画なのに撮影はユニバーサルスタジオ。

投稿: SOW | 2011年11月25日 (金) 12:16

私もこの映画、大好きで先日購入しました。
まさにジェリー・ゴールドスミスの傑作ですよね。

BOOT盤も持ってましたが、やっぱり音質はいいのに限りますね。

ただ、グレムリンが雪上車?を暴走させる場面に流れる音楽は
メインテーマありバージョンで入れてほしかったです。


>今年のクリスマスはこのサントラを聴きながら、
サンタの仮装をしたお父さんが煙突に詰まってしまう様子を
想像しながら過ごすのはいかがだろうか? やっぱりダメ?


いや、これはダメでしょ。彼女のあの告白シーンは感動しましたからwww。
それだけにそれをパロディ化したパート2はちょっと許せませんwww。

投稿: たいむぽっかん | 2011年11月25日 (金) 21:33

>たいむぽっかんさん
 続編はパロディとギャグしかなかったですよね。あの詰め込み具合は他に例を見ません。

投稿: SOW | 2011年11月25日 (金) 21:40

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73118/53254153

この記事へのトラックバック一覧です: グレムリン:

« DIGITMOVIESの新譜 | トップページ | LA-LA LANDの新譜2011/11/30 »