« トーマス・バーガーセン | トップページ | ドルリューのリジェクトスコア »

2011年10月 9日 (日)

猿の惑星 創世記

Rise_of_the_planet_of_the_apes__ver猿の惑星 創世記

 1968年に始まったオリジナルシリーズをリブートし、猿が知能を持ち、人類に反旗を翻す様子を描く。途中にティム・バートン監督の『猿の惑星』があったが、あれは見事な失敗作だったなぁ。ジェイムズ・フランコ、ジョン・リスゴウ、フリーダ・ピントの他、アンディ・サーキスが知能猿シーザーを演じる。そういえばドラゴ・マルフォイがまたハリーをいじめてるけど、今度のハリーはずいぶん毛深くて強かったな(^_^;)
 オリジナルシリーズでは人類が猿に支配されたきっかけは、未来からやってきた二匹の猿夫婦の息子シーザーが成長し、猿を使役する人類に反旗を翻した上、核戦争が起こったからだった。その未来から飛ばされるきっかけを作ったのはウラシマ効果で出発から数百年たって地球に戻ってきた宇宙飛行士で、それが円環構造になっている。では、猿夫婦がやってこなかった過去の地球では猿は知能をどうやって持ったのか? 今回はタイムパラドックスなしに猿が支配した地球ができるきっかけを描くことに挑戦した。まあ、一応、有人火星探査船のニュースは流れるが、火星程度でウラシマ効果がどうこうというのはありえない話なので、これはファンへの目配せだろう。他にも人物名などに旧作の関係者を使ったりしているが、そのレベルの話。
 ピエール・ブールによる原作小説は作者が太平洋戦争で日本軍の捕虜になった時に思いついたアイディアだというだけあって、人種問題を逆転した風刺の意味があった。映画でもそういう風刺の他に階級社会への皮肉などかなり社会的なメッセージがあった。今回のリブートでは人種問題は表に出さず、動物虐待やアルツハイマーの問題をからめている。
 しかし、そんな小難しいことは置いておいても、今回のリブートは素晴らしい。2時間足らずの中に無駄なく物語とキャラクターをテンポよく見せていく。脚本と編集の勝利だ。なにせ、見ている間、観客は人間ではなく猿に共感するように作られているのだ。人類なんか滅んでもいいよなという気分にさせるというのは並大抵のことではない。。さらに猿の知能向上と人類衰退をセットにした設定は、オリジナルの核戦争よりも現状現実味が高い分、リアリティがある。人間側のキャラは累計的ではあるが、それぞれに役割があり、無駄はない。猿側のメインキャラは言葉がない分、演技で勝負し、それぞれキャラが立っているのも凄い。モーションキャプチャーも本当に進化したなぁ。
 あえて難を言えば、知能向上はいいとして、いきなり直立したのはいただけない。全員整体に行って骨をボキボキ接ぎ直してもらったのかと(^_^;)

 3Dで映画界を活性化などという夢物語を語る製作者もいるが、そんなことなどしてもその場しのぎでしかない。それよりも、頭を使えば観客は戻ってくる。それを本作のアメリカでの大ヒットは証明している。日本でも日曜の昼間、観客はいっぱいだった。

 しかし、続きを作って欲しいような、これで終わって欲しいような、非常に複雑な気分だ。

Riseotpotapes猿の惑星 創世記
RISE OF THE PLANET OF THE APES

■AMAZON

 サントラ。音楽は『マイティ・ソー』などのパトリック・ドイル。元々、ケネス・ブラナー監督のシェイクスピア物辺りからメジャーになってきたので、どちらかと言えば文芸作品が多い。最近はRC関係者とのコラボも多く、音もシンセを導入したりして軽めな作風も増えてきた。今回はその両方をあわせた上に、パーカッションをこれまで以上に加えたスコア。一部にアフリカンなコーラスも入り、シーザーのルーツを表現。際立ってはいないが、繰り返し聞いているうちに耳に残るメインテーマもいいし、抑制の効いたサスペンススコアや鎖を解き放ったかのようなアクションスコアの暴れっぷりは爽快。

|

« トーマス・バーガーセン | トップページ | ドルリューのリジェクトスコア »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73118/52891386

この記事へのトラックバック一覧です: 猿の惑星 創世記:

« トーマス・バーガーセン | トップページ | ドルリューのリジェクトスコア »