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2011年6月14日 (火)

スーパー8

Super_eight_ver3スーパー8

←このポスターアートはストルザンのタッチを真似たファンメイド。うっかり騙されたので貼っておく。

 スーパー8とはコダックが開発した8ミリフィルムであり、日本における富士フイルムが開発したシングル8と同じような位置づけになる。つまり、このタイトルだけで「アマチュア映画撮影を扱った映画」だということがわかる。『クローバーフィールド』において現場に残されたビデオカメラの映像という設定でやったことを、今度は8ミリで?

 スピルバーグ製作、JJエイブラムズ監督の謎のプロジェクトとして公表された作品がついに公開される。ジャンルもストーリーも謎のまま徐々に小出しにしていくという『クローバーフィールド』と同じ宣伝手法で、これまでのところではジュブナイルでSFでホラーで家族で『ET』と『未知との遭遇』へのオマージュ……という印象だった。

 さて、実際に見てみると――。
 主人公は仲間と共に8ミリ映画を撮影する少年。母親が死んだばかりで父親も立ち直れない。そんな中でも友人の映画の製作を手伝う。ヒロインとして片思いの女の子が出演することになり、ちょっと元気に。この辺りまで時間をかけて丁寧に描いている。そして、駅で列車が通過するシーンを撮影中――これがまた本格的――列車に車が突っ込み、列車は脱線。倒れた8ミリカメラはその光景を撮影し続けていた。
 冒頭の静かな田舎町のしんみりした情景描写から一転しての大惨劇。ここから容赦なく話は進行していく。話のネタバレはしないとして、基本はこれだ。

「容赦ないET、グーニーズ風味」

 舞台は1979年なので、アメリカでは『スターウォーズ』公開から2年。特撮がSFXとして革命が起こった時期。主人公たちは中学生。つまり、私と同じ世代。というわけで、40歳半ばから50歳くらいの特撮映画好きならツボを突かれること間違いなし。もうね、少年たちの会話にいちいち反応して、こいつらオレのダチみたいな感覚になってしまう。おまけに舞台やらなにやら映画の記憶がいくつもちりばめられている。最後の辺りなんて○○○だし(^_^;) まさにアナログ特撮オタク向けの映画だ。
 しかし、それだけではなく、普通の映画としてもきっちり作られている。親の世代だけでなく、現在子供であっても共感できるポイントも用意されている。

 しかし、エンドクレジットは爆笑だ。このボンクラ加減がたまらない。これも本編を見てキャラをつかんだ後なので生きてくる小技。

追記:公開されたので、ネタバレつきで少々追加しておく。

 結構、がっかりとか、肩すかしとかいう評も聞くのだが、そう言う人はもの凄く期待値が高いか、スピルバーグのオマージュだと思っていたのにとかいう感想がついてくるようだ。そうじゃない。そう見えるようなところはあるが、それよりももっとB級SFテイストあふれる作品だ。宇宙人やモンスターがなぜか地中にもぐって基地を作るのは『惑星アドベンチャー』などの影響だろうし、なによりも最後の地底基地は『物体X』だ。穴の中のいかにもセットめいた土の質感なんて80年代の映画そのまんま。ストーリーが『ET』に似てるからって、宇宙への憧れとかそんなもんはないのだ。さらにいうなら、ゾンビ映画でディック・スミスなんだから、これは正しくも懐かしいSF/モンスター映画以外のなにものでもないんだよ。間違っても、「スピルバーグの感動超大作!」とか思ってはいけない。

 もっとも、スピルバーグの人でなしな部分は容赦なく出てるけどね。

 で、そのスピルバーグの容赦ないところが『ET』と『未知との遭遇』では影を潜めている。これは彼の純粋な子供の部分。エイブラムズはそこを容赦なく切って捨てている。そんなことがあるかぁとばかりにバッサリと。そこが気味がいい。なんせ、私は『ET』が昔っから苦手でねぇ。

Super8cdスーパー8
SUPER 8

■AMAZON

 サントラは6月28日発売。→7月12日に延期→8月2日に延期
 音楽は『LOST』や『スター・トレック』などでエイブラムズ作品には欠かせなくなったマイケル・ジアッキーノ。
 映画を観た印象では基本はジョン・ウィリアムズに近いアプローチ。そこまでメロディは強くないが、基本に忠実。サントラでじっくり聴き直してみよう。
 収録曲に短いのが多いのはジアッキーノの傾向だが、クライマックスは10分! そして、ボーナストラックに笑った。見た人にはわかる、The Case — Original music from the film by Charles Kaznyk!

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