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2009年9月11日 (金)

BALLAD名もなき恋のうた

 いうまでもなく傑作『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!アッパレ戦国大合戦』の実写映画化。監督は『ジュヴナイル』でデビューしたSFX畑出身の山崎貴。SFXを使わずに映画化はできない題材であるだけでなく、少年との交流も描かなければならないだけに納得の人選ではある。しんちゃんのケツだけ星人をCGIで描き――なんてわけはなく、アニメであれだけまっとうに描いた戦国時代とその合戦を再現するにはSFXは不可欠なのだ。しかし、使い方を間違うと、途端に嘘くさくなるのはこれまでに別時代を描いた邦画の失敗を見ればわかる。その点、かなり注意深く使っており、好感が持てる。
 ストーリーの大枠はアニメと同じ。やはり最も違うのは最強の幼稚園児シンノスケが弱虫小学生真一に変わったこと。戦場に出ても死にそうもないシンノスケと違って、真一はすぐに死にそう。そのため、真一はあくまでも状況に対して受動的。そして、父親も逃げ腰。そのふたりが逃げないという選択をし、成長するドラマが大きなウェイトを占める。もちろん、最もウェイトが大きいのは又右衛門と廉姫の恋模様なのは同じ。セリフもほぼアニメを踏襲しており、無理なく移行している。『サマーウォーズ』同様に、オリジナルを知らない層(特に本作の場合はアニメに抵抗感がある層)に対して、上質の物語を観てもらうためのリメイクという意味では有意義だったと思う。泣けりゃいいってわけではないが、劇場ではすすり泣きが聞かれたし、最後まで席を立つ観客はいなかった。
 しかし、アニメでの重要な部分で足りなかったために残念だったのは2つ。
 まず、重要なモチーフであった青空侍がなかったこと。
 そして、少年と武将の間に信頼感が生まれ、金打をするというシーンがなかったこと。
 このうち、後者は真一になったことで仕方がないか。一家がお客様になってしまったのも同じこと。しかし、前者は作品の雰囲気にも関係するだけに無念。逃げないこと(真一の成長)をテーマにしたことで、ラストに青空侍を入れると冗長になるという判断もあったのだろう。わかるんだが、それでも残念。
 俳優陣は頑張っていた。意外にも新垣結衣はよかった。草なぎ剛も殺陣など含めて頑張っているが、声を低くしているシーンとそれ以外のシーンが違いすぎ。ビールを飲むシーンは……。
 ちょっと突っ込むなら、最後の車で敵陣に乗り込むシーン。窓くらい閉めておけよ。流れ弾や流れ矢が飛んできたらどうすんだ? 家族を守るのが親父の仕事だろう?

BALLAD名もなき恋のうた

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 サントラ。音楽は『隠し砦の三悪人』や『K-20』の佐藤直紀。この人は音がハンス・ジマーっぽくなりすぎるとどうも魅力がないが、もう一歩踏み出すと『K-20』のようにいい感じになる。その境は個人の趣味かもしれないが、メロディと作品の目指すものがあっているかどうかというところではないか。それは監督のヴィジョンとのすりあわせもあると思うが、正直言って樋口監督の2作品については上手くいっているとは思えなかった。何で、あの作品にジマーっぽい音なのと。
 その点、本作は控えめで、愛のテーマというべきメインテーマをモチーフにして泣かせる。戦闘シーンでもジマーっぽさのないスコアも書けるんだという発見(^_^;)があってよかった。主題歌は『レッド・クリフ』と同じalan。

10月30日追記:リメイクの意味があったと思ったニュース。『クレヨンしんちゃんアッパレ!戦国大合戦』のDVDが売り上げランキング48位まで上昇した。発売直後の最高位でも73位だから凄いことだ。原作者死去という悲報もあったとはいえ、発売後これだけ時間がたってから50位以内に入るのはリメイクのおかげだろう。

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