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2008年3月 8日 (土)

最後のスーパーマン

 FSMのスーパーマンBOX最後は『スーパーマン4最強の敵』である。
 クリストファー・リーヴが演じた最後のスーパーマン。3作目までの製作(+『スーパーガール』)を担当していたイリヤ・サルキンドが権利をキャノン・フィルムに売却し、リーヴが原案を持ち込んで実現した。小規模なキャノンとしては巨費を投じており、ジーン・ハックマンのレックス・ルーサーも帰ってきた。

 今回のBOXで一番楽しみにしていたのが、本作。映画はアレだが……。

 音楽はジョン・ウィリアムズを予定したようだが、スケジュールがあわずに、彼のオーケストレイションなども担当していたアレクサンダー・カレッジが推薦されて起用された。カレッジといえば『スター・トレック』いや『宇宙大作戦』のメインテーマ(『アメリカ横断クイズ』のテーマといった方がいいのか)が有名で、ジェリー・ゴールドスミスのオーケストレイションを40作以上担当している人物。アカデミー賞には2回ノミネートされているが、オリジナル作曲部門ではなく、編曲などの部門。作曲の仕事では『宇宙家族ロビンソン』や『原子力潜水艦シービュー号』などTVが多く、単独サントラも恐らく出ていない。

 多忙のジョン・ウィリアムズだったが、それでもこの作品のために新たに敵キャラ・ニュークリアマン、ヒロイン・レイシー、ジェレミーの3つのモチーフを書き下ろしている。このため、従来からのスーパーマン、愛のテーマ、レックス・ルーサー、クリプトンのモチーフなどを加えて、4作品中最もモチーフの多い作品になっている。
 カレッジのスコアはジェリー・ゴールドスミスのオーケストレイションを長年やっていたせいか、当時のウィリアムズがあまり積極的ではなかったシンセも少し取り入れており、ニュークリアマンのテーマなどに控えめに使われている。そのニュークリアマンのテーマがひとつの白眉。カッコイイのにどこかファンキーな音で、これまでにはあまりないタイプ。全体的にケン・ソーンの2作品のように軽くなく、1作目ほど重くなく、ちょうどいいバランスになっている(映画のバランスは崩れっぱなしだが……)。各モチーフを生かしつつ、複雑に構成する手腕は見事。2枚目の5曲目など複数のモチーフが重なり合って、それでも曲として成立している辺りは感動的。さすがである。最近多発しているリメイクで、オリジナルで使われた魅力的なモチーフを生かし切れない作曲家は、こういう作品を参考にしてもらいたい。

 演奏はドイツのグランケ交響楽団だが、表現のレベルに満足できなかったために半分近くをナショナル・フィルで追加録音している。そのために1曲の中でオケが入れ替わるということも。確かに違う音色ではあるが、言われなければわからない。当時LPの発売が計画されたが実現しなかったようだ。それが30曲110分+別バージョンという2枚組になった。最後には環境音楽としてポール・フィッシュマンによるポップソングが9曲収録されている。

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