妖精作戦
妖精作戦 (創元SF文庫)
著:笹本 祐一
刊:東京創元社
個人的な話。
ライトノベルなんて言葉が存在しなかった頃、ジュブナイルという言葉しかなかった。
ライトノベルという言葉が生まれて少しずつ広がっていく過程はNIFTY-SERVE(パソコン通信ね)でリアルタイムで経験している。言葉の生みの親と育ての親とも面識がある。まあ、それはいいとして。
そのジュブナイルの代表的な文庫であるソノラマ文庫は小学6年生で卒業した。加納一朗、辻真先、石津嵐といった作家によるまさにジュブナイル――大人が子供のために書いた物語。高校の頃にクラッシャージョウを友人に教えてもらった。不覚にも卒業したと思った翌年に始まっていた。大学に入る直前にキマイラ吼とバンパイアハンターDが始まり、ソノラマ文庫はマイブームに復活。そして、妖精作戦が始まった。
明らかに違ったのは目線の高さ。他の作者の目線は大人だ。普通の作品と同じ。しかし、妖精作戦はあくまでも高校生の目線・思考・行動原理が通されていた。ジュブナイルではない。これまでの普通の目線ではない。
ライトノベルの定義というのはなんだという議論があるが、個人的にはこの目線の問題と、イラストとの親和性、あるいは不可分性があると思う。目線の問題にしぼれば妖精作戦が初めてのライトノベルだと思う。平井和正の超革中はどちらの定義からしても個人的にはライトノベルの範疇に入らない。
問題はイラストだ。妖精作戦の第一巻の初版は当時ソノラマなどで多く描いていた若菜等、2巻刊行以降は平野俊弘(平野俊貴)。メガゾーン23、イクサー1などのキャラデザで有名。平野版でライトノベルとして確立したと思う。なぜなら、平野版になったからオレが買い始めたからである! だから個人的な話だといったろーが。 いや、アニメとの関係性とかもあるのでね。しかし、その後、再版でまたイラストレーターは変わって、今回の創元版では表紙のみ。イラストとの不可分性から考えると、妖精作戦はライトノベルではない。うーん、んじゃ、なに?
SFで、いいんじゃね?
青春フルスロットル、とかw あ、殴られそう。
今のラノベ(ライトノベルとラノベは違う物になっていると、これも個人的な考え)の読者がこれを読んで受け入れられるのか、萌えられるのか。そこんところが知りたいのは、作者だけでなく私も同じだ。
ところで、本書は新宿アルタ前とかいうところから始まるのだが、根っからの関西人だった当時の私にはなんのことやらさっぱりだった。もちろん、中央線だとか国分寺だとかはまったくわからない。ところが、そこから目と鼻の先、歌舞伎町の入り口にある酒屋で今をさかのぼること50年ほど前に親父が丁稚奉公をしていたと知ったのは、自分で東京に住むようになってからだった。そして、現在、何の因果か中央線沿線の作者が住んでいた町に住んでいる。なにがどうなるのかわからんなぁ。
P.S.ソノラマ文庫版の妖精作戦が絶版コミックの無料サイト、Jコミ(合法です)で試験的に無料で読めるようになっています。→こちら。
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Comments
久しぶりにブログを見にきました。
まだまだ暑いですが体調に気をつけて頑張って下さい。
Posted by: ほけんの窓口で保険相談 | 09/14/2011 11:58