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12/20/2007

トリツカレ男

トリツカレ男

著:いしいしんじ 刊:新潮文庫

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 本の紹介かつ演劇の紹介。
 現在、公演中のキャラメルボックスの芝居はこの本の舞台化。原作はファンタジーというかお伽噺というか童話である。主人公ジュゼッペは何かのきっかけで取り憑かれたように一事に打ち込んでしまう妙な性癖を持っている。例えば、バッタを見ていて三段跳びをすることに取り憑かれ、格好いいサングラスを見かけたのがきっかけでサングラス集めに取り憑かれ、昆虫標本や歌やそんなものに一時的にはまり、しかも、それぞれかなりのレベルに達した頃に、別のことに取り憑かれてしまう。そんな彼がある時取り憑かれたのは風船売りの女の子。生まれて初めて恋に取り憑かれたのである。そして、彼女のために骨身を削ることになる。童話らしい誇張や突拍子もない展開とキャラクターたち。泣いて笑って呆れて、気持ちよく読み終えることが出来る小品。相方に言われて最初は胡散臭い目で見ていたが、実に素晴らしい作品だった。
 で、舞台。正直にいえば、いまいちだった。ジュゼッペのキャラが悲壮感を出し過ぎたせいで湿度が上がった。特に必要ない説明キャラが増えて、ドラマにつながりがなくなった。特に幼馴染みの記者。彼女の想いはドラマに何も与えていない。ラストの展開はいつものキャラメルのドタバタぶりを考えると物足りない。原作のエネルギーをダウンさせている。原作を変えてでももっと派手にやっていいところだ。最大の問題はジュゼッペのトリツカレぶりがスケールダウンしたことだろう。ここが原作では最大のキーポイントであり、すべての伏線でもあったのだから、もっとじっくり見せないと。キャラを削って時間に余裕を持たせれば幾らでもできるはず。舞台のジュゼッペは中途半端に何にでも足を突っ込んで、肝心のところは他人に頼ってしまうという、情けない人間になってしまっている。それではいけないだろう?
 というわけで、久しぶりに文句が多いキャラメルだった。

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