グエムル 漢江の怪物
『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督が怪獣映画を撮ったとなると興味がわく。しかも、この手の映画ファンから聞く感想はどれも絶賛。観ないわけにはいかないではないか。というわけで、試写会が当たったので、中野サンプラザで観てきた。
公式サイトにはいきなりモンスターの姿が見えるのでご注意。まあ、ポスターとかにも写ってるし、問題ないんだけど。だいたい、映画始まって15分くらいで全身が見えるし。しかも、日中。日常の中のモンスターというシチュエーションでは最高のものだろう。ここだけでも一見の価値あり。
さて、どういう映画か簡単に表現すると、押井守が実写でパトレイバーの『廃棄物13号』を撮ったような。実写作品の中でも『紅い眼鏡』が近いか。音楽の付け方も押井作品の川井憲次っぽい。これも特に『紅い眼鏡』が近い。
ということでわかるとおり、一般向けではない。奇妙なテイストの映画だ。シリアスな映画ではない。ほとんど冗談だ。家族のやりとりも、モンスターの出生も、軍やアメリカの連中も。しかし、モンスターの描写は思いっきりシリアス。モンスターデザインは『ロード・オブ・ザ・リング』で飛躍したWETA、CGIは『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』などのオーファネージということで、一部を除いてかなりリアル。このリアルというのは現実的という意味ではなく、架空の中のリアルさという意味。こういう生き物ならこういう動きや生態かもしれないと感じられるということ。こんな相手に捕らわれた娘のために下層階級の家族が体を張る。それだけの映画。それがこの奇妙なテイストのせいで先が読めない。しかし、肝心の所ではわかりやすいお約束が炸裂する。あなどれない。
終演後、羊を食おうということで神居古潭にチャレンジ。中野には羊メインの焼き肉屋がいくつもあるらしいが、その中でももっとも古い店。ジンギスカンで肉はホゲット(ラムとマトンの間?)。狭くて小汚い店に入ると、飲み物はと訊かれる。そして、何も言わなくても1人前が出される。炭火のジンギスカン鍋に野菜がてんこ盛り。もやし、タマネギ、キャベツ、にんじん、ゴーヤ? なんでと訊くと、「何入れてもいいの」とのこと。デフォルトで出てくる肉は特上ホゲット。他に並、オーストラリア産マトンなど。柔らかくて臭みのまったくない肉を自家製タレに漬けて食べる。塩も置いてあったけど、つける気にならないくらい旨い。なかなかいい物を食った。
追記:16日時点で韓国では公開21日で観客1000万人動員という新記録を打ち立てた模様。これまでの記録は『ブラザーフッド』の39日、『王の男』の45日、『シルミド』の58日。
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Comments
昔の記事への問いかけ失礼します。
私も川井憲二っぽさを見出だそうとして見出せませんでしたが、どこでしたか?9割押井守で後半ポンポンいう音や下水に大友AKIRA
赤い橋脚や制服中学生が庵野エヴァや式日を感じました。
上質な怪獣と家族物エンタメに仕上げて下水に落とした作品と思い、
再鑑賞は恐さで勇気が要りますが楽しめました。
今となってはSARS経験後、コロナ前の稀なパンデミック物としても見ごたえありました。
Posted by: kaco | 02/10/2023 12:36