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07/22/2005

カプリコン・1

CAPRICORN1カプリコン・1

 この日記ではサントラのことには触れないことにしているのだが、これだけはどうしても書いておかなければならない。サントラの世界に足を踏み込むきっかけになった1枚だからだ。
 まず、映画について書いておこう。
 1977年製作で英米合作(イギリスはITC)。監督はピーター・ハイアムズ。主演はエリオット・グールドとジェームズ・ブローリン。他にO.J.シンプソン(殺人容疑のかかったあの人ね)、ブレンダ・バッカロ、テリー・サバラス、カレン・ブラックなど。IMDBでは1978年製作になっているが、日本では1977年暮れ公開の正月映画だった。アメリカでは1978年6月公開。つまり、日本ではかの『スター・ウォーズ』の半年前、アメリカでは1年後という公開時期のズレがあり、それもあって人気や知名度、評価に大きな差がある。40歳前後のSF/アクション映画ファン、サントラファンにはこの作品のせいで足を踏み外した人が多いと思われる。
 物語は人類初の有人火星探査ロケットの打ち上げから始まる。ブローリンはキャプテンである。しかし、打ち上げカウントダウンに入ってから、いきなりクルー全員が内密にロケットから連れ出される。無人のまま打ち上げられるロケット。連れてこられたのは砂漠にある施設。実は回収カプセルに問題が見つかり、このままでは帰還時にクルーは死ぬことが判明。しかし、宇宙開発予算が縮小しているNASAの命運をかけた一大プロジェクトに失敗するわけにはいかない。そこで、ここから芝居をして欲しいとNASAの上司が言う。反対するクルーだが、妻や子供をたてに脅され、宇宙船から通信する芝居をする。一方、友人であるNASAの職員と呑んでいた新聞記者グールドは宇宙船からの通信の発信源がおかしいのに上司が取り合わないという話を聞き、調べ始めるが、訪ねていった職員の家には他人が住んでおり、自分も命を狙われる。
 と、まあ、こんな感じ。さすがに今見ると全体のテンポはゆったりしているが、サスペンス演出などはキレがあり、ハイアムズの最高傑作だと思う。俳優もそれぞれの持ち味を生かしており、サバラスとグールドのやりとりもいい。ラストシーンなんか最高。今はこういうラストってないもんな。どれも説明しすぎてくどい。
 しかし、今作で一番の衝撃はジェリー・ゴールドスミスが担当した音楽だった。
 当時中学1年、劇場を出た私の頭の中はメインテーマが力強く繰り返されていた。すでに『スター・ウォーズ』のサントラも聴いていたが、そんなものが吹っ飛ぶほどのインパクトがあった。それほど強烈――子供心にカッコイイ音楽だったのだ。モチーフはわずか2つしかない。メインテーマと愛のテーマ。それだけですべてを説明し、作品に統一感と緊張感を生み出し、的確にサポートしている。昨今の幾つテーマがあるんだという鳴らしすぎの音楽とは対極をなす映画音楽の理想型のひとつといってよい。
 公開時のLPなど従来出ていたサントラは実はアルバム用に再録音されたもの(ORIGINAL SOUNDTRACKではなく、ORIGINAL SCOREと呼ばれる)で、実際に映画で使用されたものではなかった。これには再使用料というものがかかわっている。アメリカでは映画音楽は映画のみに使用するものという契約になっており、サントラ盤など映画以外に使用する場合は別料金が必要になる。それが当時は高額だったため、サントラ盤をリリースするのが難しかったのだ。そこでイギリスで録音し直して(再使用料が適用されるのはアメリカ国内の演奏家のみ)、それをサントラとしてリリースするということが、当時は多く行われていた(現在は再使用料がもっと低くなったので、アメリカ録音のサントラのリリースもやりやすくなっている)。ちなみに再録音はナショナル・フィルだったので、演奏としてのレベルは再録音盤の方が明らかに上である。しかし、上品すぎて作品の荒々しさや緊張感はあまり再現されていなかった。今回のサントラは完全収録で、スコア盤では編集されていた曲も完全な形で収録されている。
 28年ぶりに蘇る傑作。しかも、ジェリー・ゴールドスミス1周忌。DVDも廉価版が出ているし、是非とも観て、聴いていただきたい。

発売元のINTRADAはこちら。3000枚限定なのでお早めに。

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Comments

8月31日、売り切れました。やはり、待っていた人が多かったということか。まあ、小売店が買った分が高値で売られることになると思いますが。

Posted by: SOW | 09/01/2005 01:25

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